ロンドン

ロンドン

ゆっくりと自分とクラスメイト達を乗せて上昇していくカプセルの中で、僕はぼんやりとロンドンの街並みを眺めていた。 実はイギリスに来てから、ロンドン・アイに乗ったのはそれが初めてではなかった。最初にあの巨大な観覧車に乗ったのは、2年半ほど前、入学式より数日早くイギリスを訪れ、母とロンドン観光をしていた…
高校3年生

高校3年生

ミニチュア世界にいるみたいだった。私はアウティングで初めて上空からロンドンを見た。 元々ロンドンの街並みが好きで憧れていたのだが、上から見ても普通に見てもやっぱり好きだと思った。そんな、最後のアウティングの始まりだった。 しかし、いつも通り楽しんでいたからなのか、あまり「最後」と感じることが…
レ・ミゼラブルの世界に圧倒されて

レ・ミゼラブルの世界に圧倒されて

午後7時29分。もうすぐだ。私は今すぐにでもミュージカルの世界に入って行きたくてうずうずしていた。 「始まった!」 そう感じてからはもう私は別次元にいるようだった。 好きな映画は、と聞かれたら迷わず「レ・ミゼラブル」と答えるだろう。それ位私はレミゼの世界観が好きで、曲が好きだ。レミゼはどんな私…
『オープンデーが終わって』

『オープンデーが終わって』

 オープンデーを経験して一番思ったことは楽しむことは大切ということだ。  オープンデーの準備期間中、良いアイディアが思い浮かばなかったり、思い浮かんだアイディアをなかなか形にすることができなかったり、楽しくない作業ばかりでつまらなかったり、みんなお互いにいろいろな不満を持ち、友達関係がギクシャクし…
『有終の美』

『有終の美』

 「模造紙部門第1位は...(ダカダカダカダカダカダカダカダカ・・・ダン!)高等部1年 世界はこれをトイレと呼ぶんだぜ」  これを聞いた時、とび上がって喜んで興奮がおさまらなかった。  私は、OPEN DAYで模造紙班として活動した。字が汚く、サボりぐせのある私は、大きな仕事はもらえず、最初…
『人との関わり』

『人との関わり』

「日本人の方ですか?」 突然、流暢な日本語でそう話しかけられた。私は自分が立っている場所を思い返した。 イギリス、ケンブリッジ、マーケットの近くのサブウェイの目の前。私は咄嗟のできごとに困惑し、頭の回転が止まった。 かろうじて 「えっ?」 という声を発することができた。すると彼女はもう…
「最後」

「最後」

あー、もう最後のアウティングだ、そう誰かの呟き声が耳に入ってきた。私は耳を疑った。正直まだ信じることができなかった。「最後」という言葉が引っかかったのだ。1年前から覚悟はしていた。これから行うすべての行事がもう「最後」なのだと。オープンデイのクラス企画、合唱コンクール、球技大会... 一つ一つ終わっ…
「満たされる」

「満たされる」

高3最後のアウティングは綺麗な晴れ空で風が少し肌寒い。ロンドン・アイに乗り込んで徐々に地面が遠くなる。もう何回目だろうか、そんなことを考えていた。皆がはしゃいでいる。なんだか子供みたいだった。それは私も含めて。2組だけとは言え、皆でどこかへ行くのも最後なのだと思うと少し寂しい。立教英国という特別な環…
高校3年生アウティング:受験へのエネルギーに繋がるロンドンの思い出。

高校3年生アウティング:受験へのエネルギーに繋がるロンドンの思い出。

2016年10月5日、水曜日。高校3年生にとって、最後のアウティングの日。今日ばかりは授業も毎日夜遅くまで行う自習もなく、少し羽をのばすことができる小休止の日なのだ。朝9時、バスに乗り込み、ロンドン・アイを目指す。少しの濁りもない水色のグラデーションがかかった空と真っ白な雲、スムーズな交通状況。なん…
『晩禱』

『晩禱』

チャペルに入ると、壁一面に色鮮やかなステンドグラスが広がっていた。 高い天井に沢山の柱や像、今まで見たことのある教会とは桁違いのスケールだ。 今回のアウティングの行き先はケンブリッジだった。 ガイドツアーや買い物など色々楽しみはあったが、特に印象に残ったのはチャペルでの晩禱だ。 キン…