「最後」

「最後」 「最後」 「最後」
あー、もう最後のアウティングだ、そう誰かの呟き声が耳に入ってきた。私は耳を疑った。正直まだ信じることができなかった。「最後」という言葉が引っかかったのだ。1年前から覚悟はしていた。これから行うすべての行事がもう「最後」なのだと。オープンデイのクラス企画、合唱コンクール、球技大会… 一つ一つ終わっていった。だがアウティングだけは、行く場所が違うにしろ、毎学期あった。そんなアウティングももう今日で最後、そう考えるとなんだか急に涙がこみ上げてきた。
アウティング当日。私たちはロンドン・アイ、大英博物館、ミュージカル、ショッピング、たくさんの事を全力で楽しんだ。特にロンドン・アイは私の中で特別な思い出となった。大英博物館やミュージカルは何度も見た事があった。だがロンドン・アイはいつも外から見るだけで終わっていて、ロンドンに住んでいるのに乗ったことがなかった。クラス皆で乗ったこの思い出はかけがえのないものとなった。
帰りのバスの中でふと周りを見渡した。笑いあっている人、話している人、寝ている人、そんな皆の姿が目に映る。3年間あっという間だったな、ただそう思った。通ったことのない丘を越え、たくさんの不安や期待を抱えて校門をくぐった日がついこの間のように感じる。だが、とても早く感じたけれど、思い出をよく思い返してみると、一つ一つがすごく濃いもので、楽しい事ばかりではなかった。辛い事ももちろんあった。そんなたくさんのことを得て、何回りも成長した3年間だったと思う。
もう行事はほとんど終わってしまったけれど、毎日共に生活する仲間、先生方がいるこの貴重な環境での生活を悔いなく過ごしていきたい。
(高等部3年生 女子)