連載 第10回 チャプレンより〈全ての私達に〉

連載 第10回 チャプレンより〈全ての私達に〉

全ての私達に 一学期のハーフタームには日本に帰国した生徒達も数多くいました。久しぶりの母国と家族が安らぎを与えてくれたことと思います。 しかしながら、英国から日本のニュースを見ていると、川崎の殺傷事件が目に飛び込んできました。まずは、亡くなった方々、傷ついた方々、その関係者を覚えて祈りましょ…

チャプレンより(第9回)

葉桜の復活日 この原稿が皆さんに届く頃には、日本でも桜が咲き始めているかと思います。 立教英国学院の敷地内にも桜がありますが、これは遠く日本を離れた子弟のために植樹されたものです。卒業式に咲くことは適いませんが、入学式には満開のことでしょう。 今年のイースター(十字架にて死なれたイエス…

チャプレンより(第8回)

英国には(正確にはコモンウェルスには)リメンブランスサンデーという日があります。11/11の直近の日曜日に多宗教の人間が参加し、午前11時より2分間の黙祷する儀式です。この日のことを今学期、授業にて取り扱いました。 何故11/11かと言いますと、第一次世界大戦(WW1)が休戦協定を締結した日だ…

チャプレンより(第7回)

5月19日、ハリー王子とメーガン妃のロイヤルウェディングは世界でも話題になりました。 早速、聖書の授業でロイヤルウェディングを見ることとしました。 イギリス王室の結婚式ですから、イギリス人のカンタベリー大主教が説教者に選ばれるのが常識的なことでした。しかし、説教者はアメリカ聖公会の初めての黒人の…

チャプレンより(第6回)

日本と比べてイギリスの緯度は高い位置にあります。 そのため、イギリスの冬は長く、そして暗い時間が一日の大半を占めます。夕方四時くらいになると、もう真っ暗となってしまいます。 冬至は昨年ですと十二月二十一日ですから、クリスマス(十二月二十五日)はまさに暗闇の中で行われます。クリスマスはイエス様のお…

チャプレンより(第5回)

主イエス・キリストの御降誕、クリスマス、おめでとうございます。 しかし何故、クリスマスにはおめでとうと言うのでしょうか。 確かに私達は誰かの誕生日を祝います。あの小さかった子が成長した時。人生の半ばに差し掛かる年齢になった、その労苦を思う時。人生の黄昏に立つその人の存在が尊く感じる時。だから、お…

チャプレンより(第4回)

学期末毎に児童・生徒の皆さんには、聖書の授業や日々の礼拝の説教、また英国に住むことを通して感じたこと、考えたことを作文として書いてもらっています。 今学期、やはり多かったのはテロというテーマでした。 英国内また世界における貧困と格差の問題、宗教的な問題、民族的な問題など、様々なレイヤーが複雑に絡…
チャプレンより(第3回)〈與賀田チャプレン〉

チャプレンより(第3回)〈與賀田チャプレン〉

遠藤周作の『沈黙』がスコセッシ監督によって映画化され、日本でも、イギリスでも公開され話題となっています。江戸時代のキリシタン弾圧という限界状況を通して、遠藤周作自身の信仰を描くという小説です。 この『沈黙』の舞台である長崎とその西百キロに浮かぶ五島列島へと、以前私が牧師をしていた教会の信徒の方たち…
チャプレンより(第2回)クリスマスのプレゼント〈與賀田チャプレン〉

チャプレンより(第2回)クリスマスのプレゼント〈與賀田チャプレン〉

クリスマスの季節には、教会や教会附属の幼稚園などでは、よく聖劇(ページェント)が行われます。聖劇とは、クリスマスの出来事を劇で表現するというもので、イエス様の御降誕にまつわる話の劇です。劇では、まず天使ガブリエルが聖母マリアのもとに訪れ、イエスの懐妊を告げるところから始まります。劇の中では詳しく触れ…
チャプレンより(第1回)〈與賀田チャプレン〉

チャプレンより(第1回)〈與賀田チャプレン〉

この文章を書いていますのは七月上旬なのですが、立教英国学院がありますイギリスは、EU離脱問題で揺れています。 離脱・残留の投票だけでなく、残留派の女性国会議員が殺害されるという事件を通して、民主主義やその根本である「話し合う」ということについて、様々な思いが錯綜しています。 イギリスに住みます生…