「ライティング・マラソン」(中2 オンライン・クラス活動 レポート)その2

「ライティング・マラソン」(中2 オンライン・クラス活動 レポート)その2

 中2では、オンライン上のクラス活動として、1学期間にわたって「ライティング・マラソン」に取り組みました。

 テーマは週ごとに変わり、テーマに関連する質問に毎日1つずつ答えていきます。作文の「要」となる自らの意見やアイデアを多面的にふくらませ、それらの情報・記録をもとに、週末に作文を書きまとめるという活動です。

 生徒は自分の好きな時間に、好きな場所で文章をつづります。担任や副担任は離れたところから、日々アップデートされていく文面にアクセスしています。コメントをつけながら執筆の経緯を見守ることができるのは、オンラインならではの「つづりかた」であると思います。

 これまで寮での集団生活を送っていた生徒たちは、離れ離れになって学校生活を送っています。クラス全体で取り組みを共有することで、クラスと学校との「つながり」を実感する機会となり、そのことが継続して取り組む意欲を生んだのではないでしょうか。

 今回は全3回にわたって、生徒たちの作品をテーマごとに紹介したいと思います。

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  第2回は6月22日~6月28日に実施した「それぞれの音」です。

 ちょうどこの頃、日本ではプロ野球の中継が始まりました。テレビから聞こえてくる無観客試合の「音」や宮沢賢治の擬音表現についての天声人語を読み、身近な「音」に耳をすませて、身近な「音」集めをすることからはじめました。採取した「音」はクラスで共有し、週の後半にかけて意見を交換し合い、最後はエッセイとして「音」について文章にまとめました。これまであまり意識していなかったいろいろな音が聞こえてきた1週間でした。

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・この学期中に、聞こえるようになった音。

▶ 意識せずに、でるでる英単語のテストの時にみんなのタイピングの音が聞こえてきました。カチカチ。(中2・男子)

▶ 小さい子の泣き声やここらへんを走る人の足音も聞こえるようになった。言葉で表すとしたら「バッバッバッバッバ」?(中2・女子)

・最近は聞こえなくなった音・聞かなくなってしまった音

▶ 今日買い物にいってる間、レジでふと思い出したのがバーコードにぴっ、てやったときにレジの人が何円、何円っていうのを聴かなくなりました。前はもう毎日どこのスーパーに行ってもやっていたのに何でやねん。(中2・男子)

▶ 立教生のみんなの声。ワイワイ、ガヤガヤ。(中2・男子)

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「音」

 僕が住む東京では、都知事選の真っ最中です。いつもなら朝から夕方まで選挙カーが走り回って、とても騒がしいです。選挙権の無い僕にとっては、とても迷惑でうるさくて嫌だなと思いました。ところが、今はコロナウィルスの影響で、ほとんど選挙カーの音を聞くことがなくなりました。ニュースを見ない限り、選挙をしていると感じないほどです。また、テレビで人数限定のライブを見ました。そこでは、拍手しかできず、椅子に座ったままで、盛り上がることがなく、寂しいライブに見えました。

 音は生活する上でとても重要なのだと思いました。音が人に与える影響はとても大きいと感じます。うるさい音、心地よい音、色々な音があります。感じ方によって、音を表す言葉も違ってきます。これからはもっと「音」を意識してみたいと思います。(中2・男子)

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「日常」

 最近は、とても蒸し暑くてじめじめした日々が続いています。次第にエアコンを付ける頻度が高くなってきて、蚊に刺されたり、夜に鈴虫の鳴き声が聞こえてきたりと、夏を感じることが多くなったような気がします。ライティング・マラソンを書いている今も、外から鈴虫の鳴き声が聞こえてきて、とても蒸し暑いです。この音を聞いていると、とても穏やかな平和な気持ちになります。

 新型コロナウイルス感染症の流行で、世界ががらっと変わってしまいました。ついこの前までは聞こえていた、家の隣の公園から聞こえる子供たちの遊ぶ声や、お店に行ったときに店員さんがバーコードをスキャンしながら、「きゅうり、90円ー」という声、たくさんの音が聞こえなくなってしまいました。いつもは気にもとめていなかった音が1つなくなるだけで、自分のいる世界が何か足りない気がして、なんだか寂しい気がして、きっとみんなの日常は、たくさんの何気ない音が集まって、目に見える世界に色を付けてくれていたんだなぁと思いました。どんな音も1つでもかけてしまったらダメなんだと思います。

 ここまで、音が聞こえなくなってしまった話を書いてきましたが、世界が変わったことで聞こえてきた音もたくさんありました。私は、ヘリコプターの飛ぶ、「バタバタバタ」という音がよく聞こえてきました。通常の授業では、みんな先生やクラスメイトとしゃべったりするので、みんなの声で溢れているのですが、オンライン授業になったことでミュートにしてしまって、普段はしゃべる人も本領発揮できていないような気がします。そうなると、やはり通常とは違い、静かな時間が多くなります。そんなときに、近くをヘリコプターの飛ぶ音が聞こえてきました。こんな音もあったなぁと、改めて気づかされました。

 いつもの日常から、世界が変化することで、聞こえなくなった音、聞こえるようになった音がたくさんありました。今回のライティング・マラソンで、生活の中に溢れている音に気づかされました。これからは、登校中やご飯を食べているとき、授業を受けているときなど、様々な瞬間に存在する音の存在を気にかけ、たくさん考えるようにしたいです。(中2・女子)

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「人が」

 静まり返っていた、京都の鹿は「ピギィィィィィィィィイ」とドアのきしんだ様な音で鳴く。だが、浅草のシャッターは音を発しない。まだ「ガラガラ」と人の活気で溢れている音は聞こえない。こんな世の中なかなか人は外に出られない。だからか音は自然へと帰っていっている。人間が動かず、もとの地球の音へと帰っていくのを見ると、どれだけ人間が人間以外の生物とかけ離れているか良くわかった。これはもしかしたら環境問題とつながるんじゃないかと考えた。人間の生み出している音が少なくなっている様に、この地球から人が作ったものや人自体を消してみると、今の音だけではなく、様々な物が消えて地球にはhappyしかないんじゃないかと考えてしまった。人がいなかったら絶滅した生物や死んでしまった生物が帰ってきて、海も山もきれいになる。だから様々な地震や津波、大雨などは地球の怒りなのかもしれない。だから天災とも呼ぶのだと思う。

 人はこれから少しずつ地球に貢献できる様な人になっていくと、自然な音と人間の音がしっかりとしたバランスをとる世界になっていくのだろう。(中2・男子)

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「懐かしい音」

 今回のライティングマラソンのお題、「天声人語」に関しての「音」について改めて考えることができました。その中でも、懐かしく思えたのは『立教英国学院での日常』の音でした。

 今、立教には戻れず家からオンライン授業を受けていますが、やはり、立教に行って、生で授業を受けるのとはかなり違っていました。中1の時の授業やホームルームでは、クラスメイトが授業中などに面白いことを言って先生も笑っていたりして、教室が『わあわあ』してましたが、立教にいないとその特有の賑やかさは聞くことができません。他にも、教室移動などで急いでロッカーを『バタンっ』と閉める音も聞こえてきません。そんな音を思い出しました。他には、教員室に寄ると大体鳴っている電話の音も思い出しました。

 このような音も今は全く聞こえなくて早く立教に戻りたい気持ちも増し、同時に「懐かしさ」も感じました。立教に戻った時の「当たり前の音」を、また探してみようかなと思いました。(中2・女子)