母のいない1週間

母のいない1週間
「気をつけてね。いってらっしゃい。」
そう言って私は母を見送った。母は用事があって日本に1週間一時帰国してしまったのだ。ということは、わたしが弟、犬の面倒、そして家事をしなければならない。私は母が帰る前にものすごく心配された。なぜなら、今まであまり家事をやってきたわけでもないし、私が頼りないからだろう。そんなに母から心配されると自分が情けなく思えた。それで私はもうこれ以上母に心配をかけないように1週間乗り切ると決意した。
そんな決意をした翌日の朝6時。目覚ましの音が部屋に鳴り響く。「眠い、あと5分だけ…。でもここで寝ちゃったら弟のお弁当が作れない…。よし、起きよう。」そう頭の中で葛藤して起き上がった。不器用ながらに朝からお弁当を作り、洗濯し、掃除をする毎日。母は毎日タダでこれらの事をやってくれているんだ、という事が身にしみて分かった。一人になってようやく、自分で自分の生活の事を全てやる大変さ、私のために毎日それをやってくれている母のありがたみを知った。
たった1週間だったけれど、日本とイギリスとで遠く離れて暮らしているこの状況は、わたしにとってより一層親への感謝の気持ちを強くしてくれた。だからこれからはちゃんと伝えたい。「お母さん、いつもありがとう。」
こんなありきたりな言葉だけれど、私はいつまでもこの気持ちを忘れない。
(高等部3年生 女子)