日本の桜

日本の桜 日本の桜 日本の桜

昨年は訪れる人もなく、ひっそりと咲いていたであろうブルーベル。今年は立教生の帰りを待っていたかのごとく咲き誇っていました。日差しにも恵まれた4月下旬、各学年で時間を作り、ブルーベル散策を行いました。感染症予防のため制限の多い日々の中にこうした息抜きの時間があることは生徒にとっても教員にとっても幸福だったようです。

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 2学期に両親の本帰国が決まった私は2年ぶりに春休みを日本で過ごしました。今まではあまり気にしていませんでしたが、住んでいる地域など身近でもふと周りを見るとあちこちに桜が咲いているのが見られました。

 桜と聞いて思い出したのが、3学期に古文の授業で学んだ徒然草でした。『花は盛りに、月はくまなきを見るものかは。』から始まり、桜の花や月は盛りの時だけが趣深いのではないということ、月や花は目で見るばかりではなく、心で感じるべきものであるといった内容が綴られていて、これを読んだ時に私はとても共感しました。つぼみを見て桜を心待ちに、思いを馳せるということも素敵だなと思いました。

 また、「桜の花の下に近づいて酒を飲んだり連歌をしたり、大きな枝を思慮分別なく折り取ってしまう」というようなこと、「どんなものも離れたままで見るということをしない」というような内容も徒然草に記されていました。コロナ禍の今、日本ではお花見や宴会が禁止されてしまっているところも多く、春の代名詞とも言えるお花見ができなくなっていることに対して少し悲しく思っていましたが、この徒然草を思い出して、少し距離を置いて車から眺める桜もいいなと改めて桜に魅力を感じました。春の訪れを感じさせるとともに短い期間でしか咲いておらず、名残惜しさを残して散っていくという幕引きが私が桜に惹かれる理由なのかなと思いました。また、寒く長い冬を乗り越えて一斉に咲き始める桜の様子は、コロナ禍で自粛ムードにあって沈みがちな気持ちを晴らしてくれて、励ましてくれているように思いました。一刻も早いコロナの収束を願いつつ、また楽しい学校生活が送れるといいなと桜に勇気と希望をもらったそんな春休みでした。

(高等部2年 女子)