予測不能な球技大会

予測不能な球技大会

 私が立教英国学院に入学して初めての大行事が行われた。

 1,2週間前から球技の希望調査フォームが送られていて、私は小学校5年からやっていたバスケを選択した。いざ練習が始まると私が前にいた中学校のバスケのレベルとはかけ離れていて、今まで通用していたものが当然のように通用しなかった。高3の先輩や自分よりうまい後輩、同学年と試合をするうちに自分は足を引っ張り続けているのではないかという考えがプレイするごとに頭の中を支配していく。

メンバーが発表され、相手チームに軍配が上がっていると察した。

同じチームのメンバーの中にも自分よりも遥かにうまい選手がいるが、自分はその人たちのプレイの妨げになるのではないだろうか。1週間前からはそんな事ばかり考えていた。

ある日、バスケ選択の人たちで集まり試合をしたとき、チームで強くなっていく楽しさを身にしみて感じた。また今までは使えない者として自分のことを見ていたが、微力ではあるがチームの力になれていると考えられるようになり今までの悩みが吹っ飛んでいった。

そんなチームメイトとともに迎えた球技大会。私は足に重い怪我を負っていた。
念入りにアップをし、チームで円陣を組むと自然と足の痛みが消えていった。おそらくアドレナリンの効果だったのだろう。
試合開始の笛がなり、タイマーが動き出す。私は練習通り自分の役目を担っていた。

その日は相手のエースが絶好調で3ポイントシュートを前半から連発し、第1クオーターは2点ビハインドで終わり、その後の第2クオーターは同点で終わった。第3クオーター折り返しの時点でなんとか相手から5点ほどのアドバンテージを取ることができた。しかし、まだ気持ちは押せ押せなのに対し、体力が底をつきそうになっていた。それでも試合に出たかった私は無理やり出たが、第4クオーター前半体力の問題か集中力の問題か、パスやシュートのミスを連発してしまう。タイムアウトをはさみ、集中力を取り戻そうとする。点差は第3クオーターよりも離れ少し余裕のある状況。私は気合を入れ直し、試合へ望んだ。タイマーなど見る暇がないほどに自分が思う最高のプレイを続けていた。相手の3ポイントシュートが入り攻守交代するその時、ブザーが鳴り試合が終わった。私は負けたと思っていた。点数表を見ると、3点差のついている数字でアドバンテージをとっているのは自分たちのチームだった。その時私は涙は出なかった。汗で体の水分が持って行かれたのだろう。試合終了の礼をし、相手チームの選手、チームメイトとともに歓喜する。これがスポーツの力なのだと知った…。

(高等部1年 男子)