英国で学ぶ意味

第5回 校長教育コラム

英国で学ぶ意味

~世界を知り、自分を知る国際理解教育~

立教英国学院は英国にある日本の学校です。
そのため、「なぜ英国で学ぶのでしょうか」「日本の学校と何が違うのでしょうか」という質問をいただくことがあります。確かに、教科書だけを見れば日本でも学ぶことはできます。しかし、本校が大切にしているのは、教科書だけでは学ぶことのできない経験です。

人は、自分とは異なる文化や価値観に出会うことで成長します。
これまで当たり前だと思っていたことが、海外では必ずしも当たり前ではないことに気づくことがあります。逆に、日本を離れて初めて、日本の文化や習慣の素晴らしさに気づくこともあります。

英国で生活することは、生徒たちにそうした視点を与えてくれます。
しかし、本校が目指しているのは、単に海外で生活することではありません。
海外にいるから国際人になるわけではないのです。本当に大切なのは、自分とは異なる価値観に出会ったときに、それを否定するのではなく理解しようとすることです。そして同時に、自分自身の文化や価値観を理解し、それを相手に伝えることです。私は、真の国際理解はそこから始まると考えています。

そのことを象徴する行事が、本校で毎年開催される Japanese Evening と Open Day(文化祭) です。
これらの行事は単なる学校行事ではありません。立教英国学院が地域社会に向かって大きく門を開き、英国の方々に学校を知っていただく機会であり、同時に日本という国の魅力を伝える大切な機会でもあります。来校される方々の多くは、日本に関心を持ちながらも、日本文化に直接触れる機会が限られています。そのような方々に対して、生徒たちは日本の文化や伝統、学校生活について紹介します。

数年前までは、展示物や模型、発表資料の制作に重点が置かれることもありました。しかし近年、生徒たち自身から素晴らしい提案が生まれました。
「展示を見てもらうだけではなく、自分たちの言葉で説明しよう。」
という提案です。それ以来、生徒たちは来校者に積極的に声をかけ、自らの言葉で日本文化や学校生活について説明するようになりました。英国の方々から質問を受け、日本の伝統行事や学校文化について英語で説明する。その経験は、生徒たちにとって単なる英語の練習ではありません。
「なぜ日本には四季を大切にする文化があるのだろう。」
「なぜ日本人は相手への配慮を重んじるのだろう。」
「日本の学校文化の特徴は何だろう。」

そんな問いを通して、生徒たちは自分自身の文化を見つめ直していきます。
私は、この経験こそが本来の国際理解教育だと思っています。国際理解とは、外国について学ぶことだけではありません。自分自身の国や文化を理解し、自分の言葉で語れるようになることです。日本文化を知らなければ、日本を語ることはできません。自分の考えがなければ、相手との対話も生まれません。
だからこそ、生徒たちは日本を紹介する準備を通して、日本について学び直し、自分自身についても深く考えるようになるのです。

そして英国の方々との交流を通して、「違い」を知るだけでなく、「共通するもの」にも気づいていきます。世界にはさまざまな文化や価値観があります。しかし、その根底には互いを理解したいという人間共通の願いがあります。
私は、生徒たちが自信を持って日本を語る姿を見るたびに、大きな成長を感じます。

世界の人々と向き合うとは、単に英語を話すことではありません。自分の文化や価値観を理解し、自分の言葉で語り、相手の話にも耳を傾けることです。立教英国学院での学びは、世界を知ると同時に、自分自身を知る学びでもあります。

国際理解とは、外国に憧れることではありません。日本人としてのアイデンティティを大切にしながら、多様な文化や価値観を持つ人々と対話し、共に生きていくことです。その力こそが、これからの時代を生きる若者たちに求められている力であり、立教英国学院が育てたい力なのです。

校長メッセージ
国際理解とは、外国を知ることだけではありません。自分の国を知り、自分の言葉で語れること。その対話の中から、本当の国際交流は始まります。