日本語という根、英語という翼

第3回 校長教育コラム

日本語という根、英語という翼

~日英融合教育が育むグローバル人材~

英国にある日本の学校である立教英国学院についてお話しすると、「日本の教育と英国の教育のどちらを行っているのですか」と質問されることがあります。
私は、その問いに対してこうお答えしています。
「どちらか一方ではなく、その両方を大切にしています。」
立教英国学院の大きな特色は、日本の教育と英国の教育、それぞれの良さを学べることにあります。日本の教育には、基礎学力を着実に身につける力があります。また、仲間と協力しながら学ぶ姿勢や、他者への配慮を大切にする文化があります。
一方で、英国の教育には、自分の考えを持ち、それを表現することを重視する伝統があります。知識を身につけるだけでなく、「あなたはどう考えるのか」を問い続ける教育です。

これからの社会で求められるのは、そのどちらか一方ではありません。
確かな基礎学力と主体的な思考力。
他者と協働する力と自分の考えを発信する力。
その両方が必要なのです。

しかし、立教英国学院の日英融合教育は、単に教室の中で日本の教育と英国の教育を組み合わせることではありません。本校の日英融合教育は、学校生活全体の中に生きています。授業での学びはもちろんのこと、寮生活、学校行事、地域との交流など、生徒たちの日常そのものが学びの場となっています。

本校の生徒たちは、日本語と英語が自然に共存する環境の中で生活しています。同時に、日本文化と英国文化という二つの文化にも日々触れながら成長していきます。私は、この環境を単なるバイリンガル教育とは考えていません。
そこには、日本語と英語という二つの言語だけでなく、日本文化と英国文化という二つの文化が存在しています。言い換えれば、本校はバイリンガルであると同時に、バイカルチュラルな教育環境なのです。

日本人としての価値観や感性を大切にしながら、英国社会の考え方や習慣にも触れる。その中で生徒たちは、一つの価値観だけに縛られることなく、多面的に物事を考える力を身につけていきます。例えば、日本では当たり前と考えられていることが英国ではそうではない場合があります。逆に、英国では一般的な考え方が、日本人の感覚とは異なることもあります。

その違いに出会ったとき、生徒たちは自然に問い始めます。
「なぜ日本ではそう考えるのだろう。」
「なぜ英国ではそう考えるのだろう。」
そして次第に、
「自分はどう考えるのだろう。」
という問いへと発展していきます。

文化と文化の間を行き来する経験は、生徒たちの思考を柔軟にし、多角的な視点を育てます。場面に応じて思考の枠組みを切り替えながら物事を考える力は、まさにこれからの国際社会において求められる力です。

私は、これこそが立教英国学院の日英融合教育の醍醐味だと考えています。
第2回でお話ししたように、思考の土台は母国語にあります。しっかりとした日本語の基盤があるからこそ、生徒たちは深く考えることができます。そして、その思考を英語によって世界へ向けて発信することができるのです。
日本語によって根を張り、英語によって翼を広げる。
その両方を育てることが、本校の日英融合教育の目指す姿です。

また、海外で生活することは、日本人であることを捨てることではありません。むしろ海外だからこそ、自分たちの文化や価値観を見つめ直し、日本人としてのアイデンティティを深める機会となります。

世界で活躍するためには、世界を知るだけでは十分ではありません。
自分自身を知ること。
自分の文化を理解すること。
そして、自分の言葉で語ること。
それらがあって初めて、他者との真の対話が可能になります。

立教英国学院の日英融合教育は、単に日本語と英語を学ぶ教育ではありません。
日本と英国、二つの文化の中で生活し、学び、考えることを通して、多様な価値観を理解しながら自分自身の考えを持ち、世界と対話できる人を育てる教育です。
日本語という根があるから、しっかりと立つことができる。
英語という翼があるから、世界へ羽ばたくことができる。
立教英国学院は、その両方を育てる学校でありたいと願っています。

校長メッセージ
日本語と英語、日本文化と英国文化。その両方を生きる経験が、生徒たちに広い視野と深い思考を育てる。立教英国学院の日英融合教育は、世界と対話できる人を育てる教育です。