社会科教員から見たオープンデイとテストの関係

社会科教員から見たオープンデイとテストの関係
 オープンデイ準備に入る直前に実施した世界史のテストで満点を取った高校一年生の生徒が、オープンデイ後の期末考査では散々の結果に終わってしまった。興味深かったのは、オープンデイの係やフリープロジェクト活動、そしてクラスの企画で忙しくしていた生徒ほど、準備期間前のテストで良い結果を残していたことだ。「仕事で時間がないのに、こんな時にテストなんて」と不満を漏らしていた生徒ほど、うまく時間をやりくりして勉強していたようだ。
 「僕たち、忙しいんです」とは彼ら立教生からよく聞く台詞である。一年目の教員の視点からも、それはよくわかる。自習時間は作戦を立てて、各教科の勉強をしなければならない。各教科からは宿題、小テスト、ホームルームからは毎日英単語と漢字の小テスト。それに、友達との大事なコミュニケーションもとりたい…。本当に忙しいようだ。
 さて、冒頭の話に戻ろう。期末考査で散々の結果を出したその生徒は、オープンデイ後、勉強をしなかった訳ではない。「勉強したんです。でもオープンデイ後、何をやっても頭に入ってこなくなったんです。」とひどく焦りながら、不安そうに話をしていた。いわゆる「燃え尽き症候群」という訳である。その生徒は、オープンデイ準備期間中、いや、その前からずっとクラスの企画、そしてフリープロジェクトに人一倍取り組み、頑張っていた。そのためだろう、目標にしていたものが終わってしまい、達成感の後に残ったのが、虚無感と脱力感。人一倍頑張っていた分、反動が大きかったのだろう。
 教師陣は、この「燃え尽き症候群」を防ぐために、「切り替えが大事だ」と口を酸っぱくして言う。ホームルームでも、授業でも、普段の生活でも。そして同時に、切り替え後の彼らの頑張りを期待してもいた。「あれだけやった彼らなら、勉強だってやってくれるよ」そんな会話が繰り広げられていたのはここだけの秘密である。
 切り替えに成功して、オープンデイも勉強も、期待以上の結果を出した生徒は多くいた。その一方で、うまくいかなかった生徒もいる。それは失敗なのだろうか。いや、予想通りともいえるかもしれない。それでも、「勉強しても頭に入ってこない」状況を体験し、その結果を突き付けられたその生徒は、きっと来学期、そして来年の今頃、もう同じ状況にはならないだろう。来年の同じ時期、高校二年生となった彼らは、中心学年としてオープンデイを引っ張り、同時に自分たちの進路に向かって、実力を着実につけるべき時期を迎える。そこで失敗しないための、苦い薬を、何名かの生徒は今回の期末考査で飲んだ。彼らが、飲んだ物を薬と思ってくれたかどうか…来学期以降が楽しみである。