ぼくの夏休み

ぼくの夏休み
 ぼくは今年の五月、帰省をせずホームステイに挑戦したため、夏休みに家に帰れる事を去年よりも楽しみにしていた。
そう、本当に待ちに待ったという感じだった。
 僕が何よりも楽しみにしていたのは、祖父母が再び犬を飼い始め、その犬に会える事だった。昨年ラブラドールの
ブレンディが老衰で亡くなってから、もう犬は飼わないと祖父母は話していた。僕の家はマンションで動物は飼えないから
とても残念に思っていた。
 それがある日英国にトイプードルの写真と手紙、母からの犬に関するなぞなぞのメールが届いた。母からのメールは
最初犬の事とは全く思わず、知り合いに赤ちゃんが産まれ、レオというキラキラネームを付けたのだと思っていた。
その後に祖父母の写真を見た。まさかの室内犬。飼わないと言っていたのに、犬だ。とても嬉しかった。ブレンディも
弟分ができて喜んでいると思う。
 楽しみにしていた自分の家。去年と同様、まだまだ休みは僕だけで、家族は仕事や学校で忙しそうにしている。
妹が早く夏休みに入らないかと待ち遠しくて仕方がなかった。荷物を片付けたり、身体を休めたりしつつ日本の生活に
なじんでいった。食べ物が美味しい事、空気が美味しい事、やっぱり日本はいいなと感じた。そして僕は家族に英国で
のウィンブルドン見学、ホームステイ、日頃の授業、スクールショップや友達とのショッピングなどについて話す。僕が
経験させてもらっている、たくさんのありがたい出来事をきちんと伝える。これが僕の役目だ。
 夏休みに入り一ヶ月。だんだん祖父母の家へ行く日が近くなりワクワクしてくる。レオとの初対面。どんな風に僕達
を迎えてくれるのだろう。すごく吠えられてしまうのか。「ウ〜。」と怒られてしまうのか。少々不安だった。でもその心配を
よそに、喜んでクンクンし、とびついてきてくれた。僕も最初はどのように対応していいのか戸惑ったけど、数分後にはすっかり
打ち解けた。トイレは訓練中、食事は僕達がいる事により興奮して遊び食い。だからきちんと叱らなければならない事も
たくさんあった。でも常に近くにいて、ペロペロと色々な所をなめてくるレオ。かわいくて仕方がなかった。動物がいるって
いいなと改めて感じた。
 祖父母の家では皆で買い物に行ったり、美味しい物を食べさせてもらったり、妹の宿題の為、浜松城へ行ったり、
これもまた楽しくあっというま間に過ぎてしまった。
 これが二学期の僕の活力となる。今年の夏はレオとの触れ合いが僕の一番の思い出となった。今度会う時にはトイレも
きちんとトイレマットで出来るようになっているだろうかと心配が残りつつ別れてきた。
 離れていてもチョコチョコ、トコトコトコとレオの足音が聞こえる気がする。