「まだ試合は続いている。」先輩の言葉を思い返してその優しさを噛み締めた。

「まだ試合は続いている。」先輩の言葉を思い返してその優しさを噛み締めた。

悔しい。勝ちたかった。黄・緑で優勝を争った球技大会。初めての球技大会はあっという間に過ぎていった。でも、そのあっという間の中にある先輩の温かさ、優しさを私は一生忘れないと思う。

立教英国学院に入学してすぐ球技大会の練習が始まった。私の球技はソフトボール、色は黄色だ。毎日ある練習。気付くともう球技大会当日になっていた。
今まで一生懸命ソフトボールを教えてくれた高3の先輩にとって最後の球技大会である。勝たなきゃ。ミスなんて絶対出来ない。それは分かっていた。試合が始まって私はパニックになった。ミスしちゃいけない。そればかりが頭をまわっていた。気持ちばかりが前に出て、結局ミスをしてしまう。自分のせいで試合に負ける。そう言う思いが頭を過った。いやだ。そう思うと涙が出てきて止められなくなった。

先輩が私に言った。「まだ試合は続いているんだよ。泣いちゃ駄目。」
そうだ。まだ負けていない。勝つチャンスはいくらでもある。何でこんなに自分が思いつめているのかが分からなくなった。ミスをしても、自分で取り返せばいいんだ。そう思えた。
その後、守備はミスをしてしまったが、その分攻撃する時に開き直ってプレー出来た。そして勝った。うれしかった。というより、信じられなかった。そして気持ち良かった。自分がやっとソフトボールの黄色のメンバーの一員になれた気がした。
守備の調子が良くなかったので、午後の試合に私は出なかった。少し残念だけれど、私は先輩が言ってくれた言葉の重さ、真剣さ、そして優しさを噛み締めていた。

黄色のソフトボールは2試合とも勝った。しかし総合結果では緑に負けてしまった。一度でも勝てないと思った自分がその結果に表れているようで、私はとても悔しかった。自分に負けた気がした。でもそれに気付かせてくれた先輩の言葉がずっと心に残っていた。
「まだ試合は続いているんだよ。」
この言葉はどんな事にも共通して言えることだと思う。途中であきらめたらそこで終わりなのだ。続きは無い。どんな目にあってもあきらめてはいけないのだ。そう思う。
これから自分の未来はどうなるかなんて分からない。でも自分がやりたいことをあきらめずに深めていくことでつかめる未来があると思う。

(中学部2年新入生 女子)