ノスタルジー:「私はまたロンドンに戻ってくる、そう強く感じた一日だった。」

ノスタルジー:「私はまたロンドンに戻ってくる、そう強く感じた一日だった。」 ノスタルジー:「私はまたロンドンに戻ってくる、そう強く感じた一日だった。」
その日は朝から雨が降ったり晴れたりと不安定な天気だったが、ロンドン・アイに乗った時はまぶしいくらいに晴れた。あの高さだからこそ見える、360度に照り渡るロンドンの景色には胸を打たれた。それと同時に、次にこの景色を見られるのはいつだろうか、と切なくなった。
私はこの夏休みまでロンドン在住だった。そのため、いつもロンドンへアウティングに行っても、「また家に帰れば来ることができる」と思っていて希少価値はあまりなかった。
この夏、日本に本帰国をした私の家族はすぐにロンドンシックになった。日本は便利で生活しやすい。だが、緑の多さ、伝統ある建物が立ち並ぶロンドンの街並み、空気、におい……今まで何とも思っていなかったものが、突如思い出と化し、故郷は日本であるはずなのに、イギリスへのノスタルジーを感じた。
そのため、久々にロンドンを訪れることのできた今回のアウティングは今までと何か違うものがあった。休みになればいつも来ていたあの場所、あのお店には、今日行ったら次はいつ来ることができるのだろうか。そんな気持ちが一日中頭の中に過ぎった。友達も同じようなことを思っていたのか、思い出を形にするためにいつもより多く写真を撮っていた気がした。
そんなアウティングの締めくくりは、「オペラ座の怪人」のミュージカルだった。観たのは初めてだったが、物語はだいたい知っていたので楽しめた。そして何より演出がすごかった。あの狭い劇場でシャンデリアが落下するシーンや怪人が舞台の上から降りてくるシーンなどは、ほかのミュージカルより迫力があった。こうして気軽に芸術に触れられるのもイギリスの良い所である。
一日は信じられないほどあっという間に過ぎた。純粋に楽しかった。そして、私はまたロンドンに戻ってくる、そう強く感じた一日だった。
(高等部3年生 女子)