オープンデイ作文: 普段からあまり意識せずに生きてきた私達を改める企画。

オープンデイ作文: 普段からあまり意識せずに生きてきた私達を改める企画。
 知らぬが仏とは大げさな表現かもしれない。だが、この高2のクラス企画をやる前の心境をよく映し出している言葉だと思う。
 今まで学校で行われる募金活動などに対して私自身を振り返ってみると、悲しみ同情していたと完全には言い切れない。こんなことがあったのかという過去の振り返りのようになっていて、心の底からの共感はできていなかった。むしろ、知らないという状態に違和感を感じなかった。
 テーマが決まってからの数週間の資料集めはそんな私に驚愕の事実をつきつけてきた。私が担当した水不足の箇所では、アフガニスタンを例として調べたのだが、インフラはおろか、半数以上が安全な水を飲めていない実態。さらには、メジナ虫と言われる不衛生な水の摂取から体内に入ってしまうこの寄生虫の恐ろしさを知る。体内に残った虫は最終的に肌を突き破って出てくるというのだ。あまりの怖さに、このメジナ虫の部分はカットしたが、これはうそではない。
 資料からだけではない。写真からの印象もすさまじかった。三月に日本を襲った地震のものである。互いに肩に手を置きはげましあう姿。人だけでなくペットも助ける救助隊。ただ文章に書くだけでは、悲しいというイメージしか持てないところを、写真ではその人、風景の細々とした感情を露わにしていた。皆の顔に笑顔はない。
 日本人全般に言えることだが、私達は核心を知らなさすぎる。自然災害が起きたとき、かわいそうだと皆が言った。だがどれほどの人が実際に現状を把握していただろうか。多くの日本人は飢餓や水不足に疎遠だ。知らない為、今安定した生活を送っている。やはり知らぬが仏である。
 この企画を通して、私は全てを見たと思いはしない。むしろこれらはほんの入り口にしかすぎない。だが私達の企画「Life is…」が総合優勝したのも、私達が全てを表現しようとしなかったからだ。考える糸口を与えたこの企画、私はすごくいいと思う。普段からあまり意識せずに生きてきた私達を改めようと導いている。
 もし世界が100人の村で、私がその村人の一人だとしたら…。私が今と同じ境遇にいる保証はどこにもない。
(高等部2年生 女子)