朱色とミントの境界線

朱色とミントの境界線

前夜祭の盛り上がりについていけない。用事が重なって、練習に行きたくても行けない。そもそも運動が苦手。

入学して間もなく、2週間後に球技大会が開催されるとの知らせを受け、当日まで不安しか抱いていなかった。周りがどれだけ熱心でも、どこか他人事のようで、自分が存在する意義などないと思っていた。本格的に競技練習が始まってからも、なかなか上手にいかず、チームの足を引っ張ってばかりの自分が悔しくて、負けそうで、憤りさえ覚えた。それでも仲間の声援と、沢山の思いが詰まったミント色のTシャツと、ほんの少しの期待を胸に、当日を迎えた。
全体競技は朱色がリード。朱色の声援は熱い。団結力がある。種目ごとに相手の朱色チームに圧倒され、いよいよ迎えた出場種目、女子ソフトボール。
ドンマイ。落ち着いて。ボールをよく見て。何度失敗しても、そうやって励ましてくれる仲間がいた。そして鮮明に記憶に残る自分の攻めの番。ホームまで走って帰ってきた時の先輩からの
「お帰り。」
これほど嬉しい言葉はない。胸がいっぱいになった。あの時、自分がここにいて本当に良かったのだと思った。
これまで幾度となく迷惑をかけたが、共に戦ってくれた最高の仲間たちに心から感謝したい。
Tシャツの色は違っても、きっと気持ちは一緒だったんだ。
(高等部1年生 女子)