去年の三学期、私はこの学校に来た。学校生活に少しずつ慣れてきたころ、私の教室に同い年くらいの英人の女の子がやってきた。周りの生徒に聞いてみると’近くの現地校との交換留学’ということだった。もともと、現地校への留学に興味があった私には交換留学というのは、とても魅力的で絶対に逃したくないチャンスだった。しかし、今学期に入って、いざ明日’ミレースクールの生徒が来る’ と言われると、今まで実感が無かっただけにとても緊張した。
当日、私は土曜日の靴磨きを素早く終わらせ、教員室へ走った。どんな子が来るのかと、楽しみな気持ちと緊張が入り混じった。実際にバディの生徒たちが来てみると、そこまで緊張はしなくなった。バディのほうが緊張しているように感じたからだ。それはそうだと思った。日本人ばかりの学校に来て、緊張しないわけが無い。それどころか、初めて学校生活を寮で過ごすというのは緊張だけではなく不安も感じているはず。と私は思い、どうすればこの一週間楽しく過ごしてもらえるかと必死に考えた。そんな風に、頭の中がバディの事でいっぱいになっているうちに自分の緊張の事などすっかり忘れていた。
毎日が忙しかった。普段、普通に立教生活を送るだけでも忙しかったはずなのに、自分の事以上に常にバディのことで頭がいっぱいで、いつもの忙しさとはまた違った忙しさだった。忙しくて忙しくてバディには申し訳ないが、交換留学を希望したことを後悔しそうになる事もあった。
一週間、風のように過ぎてしまった。最後の週末、みんなでげらげら笑いながら話をした。最初の夜の交流時間に映画を観た事さえ無駄な時間だったんじゃないかと思うくらいに盛り上がった。これが最後のホームルーム、これが最後の食事、刻一刻と迫ってくるバディの帰宅の時間に、どんどん’最後’が増えるのが寂しかった。みんな、帰る時間が近づくに連れて時計をちらちら見ていた。教員室に行き、両親の迎えを待つみんなの目には涙が浮かんでいた。笑顔で見送るつもりだった私もつられて泣いてしまった。最後には駐車場まで追いかけて、お互いに泣きながらハグをした。
一週間、いろいろなことがあった。大変だった事も、楽しかった事も、今考えれば一瞬の出来事だった。一言で言えば、楽しかった、という言葉しか思いつかない。交換留学をして本当に良かったと思った。
一ヶ月すればまた会える。そう思っても、一ヶ月はいつもの一ヶ月より長い気がする。次は、私たちがミレースクールを訪れる番だ。1000人以上の英人の生徒がいる学校に飛び込むと思うと、やっぱり緊張する。でも、次の一週間は、本当に最後の一週間になると思うともっと寂しい。だからこそ、今回の何倍も有意義な時間をすごしたいと思う。
(高等部1年生 女子)