忘れぬために

忘れぬために
冬休みというと年越しを挟んだ休みとなる。正月は毎年親戚が家に集まって過ごすのだが今年はそれだけではなかった。近所の神社のご奉仕に参加したのである。
 三箇日の三日間、私は御礼場といって御礼や御守り、縁起物などを頒布するご奉仕をした。一言で言うと疲れるし忙しい。初日である一月一日なんかは、慣れていないこともあって、やめたくて仕方なかった。
 たくさんの人とふれあうというのは私の想像以上に大変だった。初日は余裕がなくて気にしていなかったが、訪れて来る人はあたりまえだが様々な人がいた。ほとんど話さず、早く帰りたがる人、楽しそうに御守りを見ている人、笑顔であいさつしてくれる人、なぜだか偉そうな態度の人など、それは様々であった。やはり相手が笑顔だとうれしくなるものである。威張っている人だと、なんだこの人はと思っていた。お客様でも神様じゃないのだぞ。神様はここ(神社)にいるんだぞ。と、どこかで聞いたことを心の中で言っていたのだった。
 そんなこんなでご奉仕を終え、普段の生活に戻った私はすぐに本屋に行った。買う本は予め決めていたのでレジカウンターへすぐに向かった。
「ブックカバーをお付けしますか。」
「こちらの本はキャンペーンの対象ですが・・・。」
とか何とか色々店員が聞いてくるのをうっとうしく感じながら首を縦や横に振ってお金を払い、さっさと店から出て家に帰った。
 本屋からの帰り道に思った。私の態度はひどいものだった。私が店員をやっていて、私のような客が来たら、確実に嫌に思うだろうな、と考えた。なぜ今まで身近で働いている人に気を配れなかったのだろう。ああ、これは後悔というやつだ。いくら嘆いてもしかたない。これからは、気を配れるようにしよう。忘れてしまってはいけない。だからここに書いておく。
 
(高等部1年生 男子)