ボランティア

ボランティア
“思いだけでは人を救うことはできない。”
これはある大学のパンフレットの中でボランティアに参加した学生が言っていた言葉だ。オリエンテーションの時にその学校の教授から、
「あなたは彼らのために何ができますか。」
と聞かれ、
「何ができるかはわからないけど、彼らを思う気持ちはあります。」
と答えたそうだ。しかし実際は彼らの状況や伝統、文化など彼らについて知らなければ何もできない。そのことに気づかされた彼女はエキストラでボランティアに関する授業をとり、必死に勉強をし、見事に派遣されたそうだ。
将来たくさんボランティアに参加し、困っている人を助けたいと思っていた私にとってこの言葉はとても心に響いた。私も想いはあるが、彼らの状況、心情は知らない。彼らのためにと思ってした事が足手まといになるかもしれないと思うと、このままじゃいけないと思った。なのでこの夏休み、私は難民の人々の状況やボランティアについて調べ、まだ知らないことはたくさんあるが、少しずつ知識を増やしていった。知識を増やしていくと、自分が今どれほど恵まれているかを痛いほど気付かされた。当たり前に家族がいて友達が隣にいて、ご飯が食べれて、毎日安全な場所で暮らせる。当たり前の事を当たり前の事として忘れている自分にも気付かされた。
私は彼らのために何ができるのだろう。再び問いかけてみた。もうそこには、数ヶ月前の私はいなかった。
(高等部3年生 女子)