左腕の重さと一生忘れられない悔しさ

左腕の重さと一生忘れられない悔しさ

「3,2,1,GO!」
円陣を組んでみんな戦う準備はできた。人それぞれ思うことはきっと違う。
僕はPMサッカー部キャプテンとして、代々受け継がれてきたキャプテンマークを左腕につけ、このチームで絶対勝って得点して笑顔で終わる、そう心に誓った。
中には、体調不良で試合に出れなかったが、ずっと練習についてきてくれた仲間がいる。
また、試合をしたい、と言ったら、対戦相手を探してくれた先生もいる。練習に付き合ってくれたり、アドバイスをしてくれた先輩もいる。応援すると言ってくれた後輩、先輩もいる。そんな人への思いもこもったキャプテンマーク。僕の左腕にはたくさんの思いが込められていた。

対戦相手はロックスウッドフットボールクラブ。
ホイッスルが吹かれる前、緊張感漂う体育館のフィールドに立っている他7人の顔を見ると、笑顔が見えた。それは緊張していた僕にとって少し緊張を和らげてくれた。
試合開始のホイッスル。代々受け継がれてきたキャプテンマークを一度見て、センターサークルからボールを蹴った。
僕にとって、約2年ぶりの試合で、緊張していた。けれど、ボールに触るにつれて、感覚を取り戻し、緊張がなくなり、いつも通りのプレーができた。
先に結果を伝えると、3ゲーム行い、1ゲーム目が0-2、2ゲーム目が2-4、3ゲーム目が0-5、結果2-11と大差で負けてしまった。
試合終了のホイッスルを鳴らされると、涙が出てきた。
僕たちは放課後、時間ギリギリまで練習していた。けれど、結果に繋がらなかった。
もちろん、僕ともうひとり以外は立教に来てから本格的にサッカーを始めた人だし、練習の質が低かったのもある。また、体調不良の人もいて、前日参加した人や、試合に出れなかった人もいる。けれどまさかこんなに大差で負けるとは思ってもいなかった。
けど、これも「サッカー」だ。何が起こるか全く予想がつかない。これがサッカーの面白いところだと僕は思う。
僕は3歳からサッカーを始めた。小中学部の中では経験が一番長い。その僕が、未経験者に対して、基礎をもっと正確に教えるべきだったと後悔している。

僕は得点したが、決して満足していない。あと6回くらい僕が決めれるチャンスはあったし、もっといいプレーはできたと思う。そんな悔しい思いを持ちながら、相手チームのもとへ向かい、握手と感謝を伝えた。すると、相手チームから、「僕達にとって非常に厄介で、やりにくかったよ。いい経験になった。ありがとう」と言われた。また相手の監督からも「君はいいプレーヤーだ。またいつか試合をしよう」と声を掛けてもらった。正直嬉しかったが、その時はそんな気持ちにはなれなかった。けれど今思うとめちゃくちゃ嬉しい。

顧問の先生にも挨拶を終え、ベンチに戻り、僕は泣いていた。すると、小学生が来てくれて、「大丈夫大丈夫、先輩フル出場して、最後まで諦めずに走ってたのかっこよかったよ。」と言ってくれた。それを聞いて余計に涙が溢れ出てきた。試合の流れ的に小学生を出す時間が短かった。短かったのにも関わらず、ベンチから声を出し、励ましの声をもらって、いい後輩をもって良かったなと思った。これも立教にいるからこその経験だと思う。立教にいなかったら小学生とも関われなかったと思う。

僕はこの悔しさをバネに成長できればなと思う。
応援してくれた皆様、試合の手続きをしてくれた先生方、練習に付き合ってくれた先輩方、ありがとうございました。
(中学部2年男子)