「コロナ禍と社会について考える」(中3国語 オンライン授業レポート)その2

「コロナ禍と社会について考える」(中3国語 オンライン授業レポート)その2

 中3国語では1か月近い期間を使い、「コロナ禍と社会について考える」という単元を行いました。生徒個々人の頑張りは勿論、月曜のオンライン学習で課題文を読んだ後Googleフォームで振り返り・質問への回答、木曜のインタラクティブ授業で読解内容の確認と交流という形で進められたからこそ出来た学習です。今回は、学びをまとめるために各自で問いを立てて文章を書くということをしてもらいました。今後も彼らは答えの明確に出せない問いと格闘しながら考え続けてくれることでしょう。授業担当として大いに期待しています。

 生徒の書いた文章を3回に分けてご紹介します。今回は下記3点です。

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ペストとコロナウイルス、そしてこれからについて
                             
 今回のコロナウイルスの問題はまさに100年に1度の問題と言われています。
 これまで私達が生活してきた生活様式を大きく変えるものです。このことからペストとコロナウイルス、そしてこれからどう向き合っていったら良いのか、ということについて考えたいと思います。
 現在、東京では緊急事態宣言や外出自粛、3密を避けることが呼びかけられていますが、ペストの時は国や地方の対策等があまりとられず、また、医療関係も技術や人員の整備が整っていない為、今より大変であったと思います。また、警察が機能せず罪人が野放しにされ治安も悪化していました。
 しかし、『ペスト』の登場人物である医者の葛藤が出て来ました。それは今の世界中の医療機関の方達と殆ど同じ意見で、大変しみじみ感じました。この事実から私は「歴史は繰り返す」という言葉を思い出しました。ペストは今から遠い昔の疫病であり、多くの被害を出しました。それに対して、コロナウイルスも世界中に被害を出している疫病です。ペストのような大きな出来事があっても、人々の混乱や不安による行動は昔も今も変わらず、医療や政治も殆ど似たような動きをしている部分もあると思います。
 一方、看護師の方に質問をして、回答を得る機会がありました。その中で「1番苦労したことは?」という質問に対して「自分が感染しないように気をつけること」と答えて頂きました。私はその答えを聞いて、実際に現場にいる人だからこその思いと感じました。当たり前の事の様に思えますが、実際に多くの患者と接している環境では、大変難しいと思います。他にも「コロナを通して考える平和とは」という質問に対して、「すべての人が相手の立場になったことを想像して行動し、意見が言える世界」と答えて頂きました。私はその答えを聞いて、このコロナウイルスを経験したからこそ考えられる言葉でとても深いなと思いました。看護師の方がこのように考えている事実は、政府やテレビの報道ではなかなか伝え切れない部分があると思います。だからこそ、これらの貴重な言葉を様々な物事に繋げられる様に当てはめて考えながら、他の国難や災害にも関心や興味を持ちつつ、平和について考えていこうと思いました。
 私は、今回の学習でペストとコロナウイルス、1人の看護師の方からの意見から学びを深めました。この学んだ物事からこのコロナ禍についてもっと関心を持ち、これからの状況を様々な方向から見ていきたいと思います。また、これからの世界や日本は、30年に1度は今回の様な災害や国難があると言われています。
 だから、今回学んだペストの歴史や当時の状況、コロナ禍から私がこれからどう社会や平和の為に行動できるかを考えていきたいです。そして、次の世代の人達がまた起こるであろう災害や国難を乗り切る為の知恵や道具となって欲しいので、私は次の世代の人達に何か伝えたり、教えたりする機会がある時は今回のコロナウイルスは勿論、今の医療現場の方達の思いを必ず伝えていきたいです。

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コロナ禍と社会について考える          
                                 
 私はこの『コロナ禍と社会について考える』の単元を通じてペストとコロナ禍の状況の違いによって、その時のどのような選択が良いのかという問いについて考えました。
 まず、ペストとコロナでは環境が違いました。ペストが流行ったころは今ほど医療技術がなく、インターネットがなかったため情報伝達にも時間がかかり、当時は感染予防も今ほど徹底的にできなかったと思うので、コロナとペストでは似ているところがありますが、ペストと今のコロナ禍を完全にそのまま重ねることはできないのだと気づきました。
 これを踏まえたうえで今と昔ではどのような選択が良いのかという問いについて考えていくと、この単元で看護師の方からお話を聞かせていただいたときに、その方は、何をしてもらうとありがたいか?という質問に対して、「近くの医療関係者の方にエールを送ってあげてほしい」と言っていました。これはあくまでもこの方の意見なので他の方がどう思っているかはわかりませんが、この方と同じことを感じていた人は今も昔も沢山いると思うので、今も昔も大切だと考えられるのは、一人一人が社会の病気と向き合い、考え、周りの治療をしている人に対して感謝をすることだということが分かります。このことから、今も昔も私たちにできる最低限の、最も良い選択とは一人一人が社会の病気と向き合い、考え、周りの治療をしている人に対して感謝をし、エールを送るということなのではないかと私は考えました。
 今と昔ではおかれている状況が違っても、感じていることは同じ人間なので似ているのではないかと思ったので、今と昔の最善の選択はこのようになるのではないかと私は考えました。

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 私はこの単元を通して感染症の感染拡大時の人々の考えや思いはどうなのかという問いを立ててそれについて考えました。その中で例として『ペスト』とコロナの二つで比較して考えていきます。
 『ペスト』・コロナの双方で早く感染を収束して欲しいと願う気持ちと自分の欲望のために外に出るという二つの気持ちがあるという点が共通していると私は思います。
 まず、コロナでは緊急事態宣言が発令されているにもかかわらず不要不急の外出する人がいるというのをニュースや新聞で見ました。
 また、『ペスト』のでも愛する人のために外出制限が出ている中、外出しようとしている人がいます。
 今回の問いに答えはないと思いますが、人々の気持ちはいろいろあり多くの葛藤の中、感染症を乗り越えていくと思います。今回このまとめの文章を書いてどんな状況でも人にはさまざまな考えがあることを改めて知りました。