立教歳時記 連載第8回 コマドリ (Robin)

立教歳時記 連載第8回 コマドリ (Robin)
特徴的な赤い胸を持つコマドリは、イギリスではRobinと呼ばれ、人々からよく親しまれている。クリスマスカードにも雪の中の姿、スコップの柄に止まっている愛らしい姿が使われている。庭でもよく餌をついばむ姿が見られ、枯葉を集めたり、土を掘り起こしたりしていると、必ず後ろで佇んでいる。好物のミミズが掘り起こされるのを待っているためであるが、庭仕事が大好きなイギリス人の良き友人として知られている。好奇心が強く、人の姿も恐れない。掘り起こしたミミズをあげればすぐに飛んできて啄ばんだりする。3月にもなると、巣作りが始まり、軒の下、温室の中、ガレージの中、時には植木鉢の中など、身近な場所に巣をつくることも人々から愛されている所以であろう。反面、他の鳥に対しては縄張り意識が強く、その赤い胸を誇示しての威嚇、攻撃は激しい。校内でもいろいろな場所でコマドリを見かけることができるが、特に本館前の石灯籠周辺には今の時期、ヒイラギの赤い実を啄ばむ姿、落ち葉をひっくり返している姿を見かけることができる。
日本ではコマドリの美しい特徴的な鳴き声はウグイス、オオルリと共に三大鳴鳥として知られている。その鳴き声が馬の鳴き声に似ているとのことで、駒鳥の名がつけられたようである。イギリスでは夕方、あたりが暗く静かになり始めた頃に最初に鳴きだすのがコマドリである。時には明るい照明のそばで夜半まで鳴くために、ナイチンゲールと間違われることもあるようである。
イギリスは昨年、今年と2年連続の大雪、寒波のために多くの小鳥達を失っているとの報告がある。特にコマドリは昨年に比べ20%以上もの減少が伝えられている。夏から比較的安定した温暖な天候が続いたため、今年はカシの木、栃の木、ヒイラギなど、立教の樹木達は多くの実を実らせ、特にヒイラギの木にはたくさんの赤い実が見られていたが、雪が融けた今、これらの赤い実は一切無くなってしまった。積雪の間にツグミ、コマドリ等の小鳥達が食べ尽くしてしまったと思われる。これからまだまだ続く厳しい寒さにこの冬をのり越えることができるか心配だ。
 身近に見られる鳥であるために、古くからよく本の中、詩の中にも登場する。雄同士の激しい縄張り争いは時には死に至る場合もあり、マザーグース童話集、Who killed the Cock Robin? でも、コマドリを殺した犯人探しが取り上げられいる。その他、多くの推理小説の中でこの詩が取り上げられ、展開が興味深い。
Who killed Cock Robin?
誰が駒鳥 殺したの?
I, said the Sparrow,
それは私と 雀が言った
With my bow and arrow,
私の弓と 私の矢で
I killed Cock Robin.
私が駒鳥 殺したの
(中略)
All the birds of the air
空行くすべての鳥たちは
Fell a-sighing and a-sobbing,
ため息ついて啜り泣く
When they heard the bell toll
鐘の音 高く響き渡る
For poor Cock Robin.
哀れな駒鳥 弔うために