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立教特派員レポート

言葉のない夢


目を奪われた。
幼い頃に憧れていたような、キラキラしていて、回ると花が咲いたような衣装に身を包み、しなやかに、華麗に。視線のすぐ下で奏でられている音に合わせて踊るように。

待ち続けた、暖かで、光に包まれていたクリスマスが終わり、少しだけ寂しさを感じていた、そんな時に、イギリスに住んでいて初めてロイヤルバレエ団のくるみ割り人形を観に行った。ちゃんとしたバレエなど見たことがなかったため、どんなものかも正直分かっていなかった。楽しみにしていた、といったら大げさだと言えるくらいだった。姉が大好きなミュージカルは、付き添って何度も観に行っていたので、そんな感じかなと思っていた。しかし、「バレエはミュージカルと違って歌もないし、セリフもないのよ」と言われた時は「それって面白いのかな」なんて思った。要は無知ゆえに、あまり期待はしていなかったのだ。

ロイヤルオペラハウスに入ると、まずは荷物チェックをされた。目に入るのは、ホールに入る前から続く綺麗な装飾。世界屈指のバレエ団ということは知っていたから、きっとすごいんだろう、そんなペラペラな紙みたいな感情だけど、期待は高まった。
ホールが開場した。母と姉と口を合わせるように「わぁ。」とその綺麗な内装に声がもれ、重厚さを肌で受け取った。歴史の重みだろうか。さらに期待が高まり、ワクワクして席に着くと、金の装飾がなされた、大きな、重そうな赤いカーテンが揚がった。
何層にも降りていた幕が、物語に合わせて揚がる度引き込まれていった。体も気づいたら少しずつ前のめりになっていた。夢に見たようなクリスマスの景色が広がる舞台に、次から次へ出てくるバレリーナ達。一人ひとりが、お姫様のようだった。

物語が、ヒロイン、クララの夢の世界へと入っていった。クララの夢の中のお菓子の国でいろいろなお菓子の踊りが始まり、その一つ一つが終わる度に起こる拍手。自然と私も大きく手を叩いていた。めくるめく繰り広げられる、その美しい物語の虜となっていた。物語に一度も言葉はなかったけれど、私はすっかり物語の中に入り込んでいた。

最後の金平糖の踊りの舞は、バレエをよく知らない私の目にも格別に思えた。大きな舞台に一人のバレリーナ。存在感も格別だった。キラキラと輝く舞台にキラキラと輝く衣装に身を包み、華麗に踊る、優雅な姿。綺麗だった。

やがてクララは目を覚まし、私もゆっくり現実へ戻っていく感じがした。大きな赤いカーテンが下りた。

「もう行くよ、ほら、早く。」そう母に言われるまで立つことを忘れていた。そこに言葉はなかったけれど、夢を見ているようだった。

(高等部2年生 女子)
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