いつかまた来たい

いつかまた来たい

 3学期のアウティング。着々と元のように外出できるようになり、今年2度目のアウティング。しかしアウティングの前日には3学期で一番重要な高等部進学の面接があった。面接では高校生になったら何がしたいとか、夢はなにかとか、そんな質問だった。自分ではそれらの質問の回答にあまり満足していなかったが、それが終わったという達成感の方が大きかった。3学期前半の悩みのタネはなくなり、晴れ晴れした気持ちでアウティングを迎えた。

 今回のアウティングの目玉は、ブライトンにあるi360というタワー。ひと目見ただけで強烈なインパクトを残すような高さだった。その近くでバスから降りて、街を眺めながら歩いていった。街はどこを見てもきれいで、街全体がディズニーランドのような雰囲気だった。先学期のアウティングに引き続き、また海を堪能できる場所だった。そのタワーに昇って周りを見渡してみると、本当にイギリスに来たんだなと実感できた。レンガ造りの建物や、海、遠くに見える白亜の崖など、絶対に日本では体験できないような景色で感動した。タワーを降りてからまた海辺を歩いていった。海なんてどこで見てもほとんど同じようなものだと思っていたけれど、イギリスで見ると、何か日本とは違う感じがした。

 色々な場所を撮影しながら、次は親を連れて来たいと思った。そこで私はふと思い出した事があった。それは、いつか私が英語を喋れるようになったら、親をたくさんの国に連れて行きたいと思っていたことだ。小さいときから一緒に色んな国に行ってきたが、きっと親はゆっくり落ち着いて楽しむことはできなかっただろう。だから、ただ色んな所を楽しんでもらいたいと思っていた。これは立教に入学する前からずっと思っていた事であり、私が英語を勉強する理由の一つでもあった。前日の面接では、英語の資格試験や交換留学について話したが、私にはもっと大切な理由があったことに気がついた。面接では「夢はなんですか?」と聞かれたとき、ちゃんと答えることができなかったけれど、また同じことを聞かれたときはきっと「英語を話せるようになって親を様々な場所に連れて行くこと」と答えるだろう。
(中学部3年生 女子)