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立教特派員レポート

夏期休暇で得た貴重な経験 〜寒空のアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所〜


私は、今年の夏期休暇に北欧や東欧などの10カ国を旅行しました。オーストリアの壮大できらびやかなシェーンブルグ宮殿に魅了されたこと、スイスの澄み切った空気の中でアルプスをハイキングしたこと、チェコでホテルを探して父が街灯もない真っ暗な道を運転し続けたことなど、思い返すと旅の中で多くの感動やハプニングがありました。その中でも特にポーランドにあるアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所を訪れた経験は、忘れることの出来ない、いや、忘れてはならないものとなりました。

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所は第2次世界大戦中に百万人以上のユダヤ人やポーランド人などが虐殺された場所で、現在は「負の遺産」として世界文化遺産に登録されています。私がそこを訪れた日は、まだ8月下旬だというのに気温が15度以下で冷たい雨が降る寒々しい日でしたが、多くの人が訪れていました。

私はまず第一収容所を訪れました。ここには貨車などで運ばれてきた被収容者が生活するバラックが広大な土地にずらりと並んでいました。そして収容所の真ん中には、大量虐殺が行われたと言われるガス室に続く一本の真っ直ぐに伸びた線路があり、まるで死へ続く道のようでした。被収容者たちが、有刺鉄線のフェンスで囲まれ自由を奪われた環境の中で、過酷な労働を強いられ、十分な食事も与えられない日々を何を思いながら生きていたのか、亡くなっていったのかを思うと胸が苦しくなりました。同時に、当たり前だと思っていた今の生活が、何よりも幸せなのだと実感しました。そして、一日中何もしないでベッドでゴロゴロしたりする私をとても恥ずかしく思いました。罪無き子供や大人の命がこのような形で奪われることは、二度とあってはならないと強く思いました。

次に第二強制収容所を訪れました。現在は博物館になっており、被収容者から押収した大量の鞄や靴の展示や第2次世界大戦中の写真の展示などがありました。特に、絞首刑を受けた後の首が落ちた人々の写真や銃を向けられて怯えている男性の写真などは衝撃的で、目の前に「死」が迫ってくるような恐ろしい気分になりました。私は、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所を訪れて初めて、人と人とが殺し合う本当の戦争の恐ろしさを感じました。

私は現在フランスに住んでいるので、BBC WORLDやSKY NEWSといった海外情報番組をよく見ます。そこでは、ガザ紛争やウクライナ問題、アフリカの内紛、イスラム国などの話題でもちきりでした。宗教問題や民族問題、経済的利害などで対立し、大きな争いへと繋がってしまうのです。そして今もなお、死と隣り合わせで暮らしている人が多くいるのです。日本は太平洋戦争後、他国と多少の揉め事はありますが、平和が続いていると私は思います。だから、なんとなく戦争は「他国の争い」や「過去」のものという気がしていましたが、決してそうではないと強く実感しました。

私がこうしてフランスに住んでいること、多くの国を旅行できることは、世界全体が密接に繋がっているという証拠です。だから、どんなに離れている国の小さな争いでも、関心を持つことは、これから国際社会を生きる上で、とても大切だと思いました。
この夏期休暇で得た貴重な経験を忘れずにこれからの日々を過ごしていきたいです。

(高等部2年生 女子)
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