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立教特派員レポート

ふるさと



私はこの春休み、自分が生まれ育った街について考えてみた。

私の住む広島県福山市という所は、瀬戸内海の中央部に位置し、年間を通じて非常に住みやすい気候にも恵まれている所だ。そして緑も多く、ハッキリ言って田舎だ。

その南部に位置する「鞆の浦」は風情残る城下町で、「日本で最も癒される港町」とも称され、宮崎駿監督の映画「崖の上のポニョ」の舞台にもなっている。映画の中では江戸情緒たっぷりの町並みや風景が鮮明に描かれていた。ここは、380年続く伝統行事「鯛網漁」も行われ、今では全国各地から観光客が集まる名所となった。瀬戸内海で獲れる魚は本当においしく、週末には朝市が開かれ大量の魚がとれたてのまま並んだり、テントの下や路地で魚を捌く姿が見られ、焼いたり煮たりする匂いが漂っている。私も朝早く起きて家族で新鮮な魚を買いに行ったものだ。

幕末に坂本龍馬指揮の舟が「鞆の浦」沖で紀州藩の軍船と衝突、沈没した事件「いろは丸事件」に関わる史跡も多く残っている。それだけではない。室町時代には、将軍・足利義昭が拠点を鞆の浦に移したり、江戸時代に朝鮮通信使が度々寄港し、福禅寺から眺めた風景を「日東第一形勝」と賞賛した。

そして街のシンボルでもある「薔薇」だ。1945年、広島原爆投下後の8月8日、ここ福山も空襲に遭い市街地の約八割を焼失した。荒廃した街の復興を願い、人々の心に安らぎを取り戻そうと、住人の植えた一本の薔薇苗が今では七十七万本となって、街中の至る所に凜と美しく咲いている。

当時を思うと育てるのは大変だったろう。しかし、その花が人と人とをつなぎ、街や人々の心に自信と安らぎを与えてきたのではないかとも思う。

クリスマス前になると、ボランティア活動の一環として千個の折り薔薇を使った「祈りのばらツリー」製作に参加していた。これもまた、市民が考えた幸せを願う祈りのプロジェクトだ。

私は学校に居て見ることはできないが、今年の5月も薔薇の花が咲き誇ることだろう。一本の薔薇から始まった美しい花々を思いだしながら、今年もそっと祈りを捧げたい。

(高等部2年生 女子)
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