立教英国学院

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立教生が綴る英国寮生活

想像力が足りないよ ...英国生活と立教生なりの文化論


ピーチクパーチクと頼りない鳥の鳴き声を聞きながら、僕は少し早めの昼食を摂っていた。その日に食べたのは、確かうどんだった。近年日本で浸透しはじめた"年明けうどん"というものだ。これに関しては、日本独特のバレンタインデーと同じ類のものだと思っている。女性が想いを抱く男性や仲の良い友人などにチョコレートをプレゼントするという変わったバレンタインを、少なくとも僕は日本以外の国では知らない。つまりは、日本だけで行われている一種の商法だと僕は考える。

僕がその日、口にしていたのは、緑色のカップうどんで、スーパーなどでよく目にするものだ。日本にいたのなら、インスタント麺で所謂"年明けうどん"なる行事は済まさないだろう。(もっとも、この行事自体はあまり知名度のあるものではないが。要するに"年越しそば"をまねて作られたものである。)しかしながら、そう長く日本に留まることができない身としては、カップうどんでも十分にありがたみを感じられる。そうは言っても、僕自身はこの光景に、違和感を感ぜざるを得ない。英国の食卓で、手入れされたばかりの綺麗な庭を見ながらカップうどんを啜り、鳥の声を聞く。まるで間違い探しだ。多くの日本人の英国のイメージはこうではない。

知らず知らずのうちに、日本人は勝手に固定観念をでっち上げる。日本にいる僕の友人に、イタリアの落ち着いたバレンタインについて話をしたところ、友人は最初から話の終わりまで不思議そうな顔をしていた。それもそのはず。多くの人がバレンタインはチョコレートをプレゼントする日と答えるだろう。それが日本人にとってあたり前のことなのだから。このことを英国に住むネイティブの方に聞くと、なんで日本人はそんなことをしているんだ、と大真面目に問われ、返答にとても困った。

違う国の文化を知った時、多くの人は実感が湧かない。見ているものだけが世界、つまりはその人の当たり前になるからだ。英国にはコンビニがない。僕自身も日本にいた時は信じられなかった。想像力が足りないよ、と言われてしまえばそうなのかもしれない。けれど、一度当たり前になってしまったことが間違いだとわかっても信じられないのだ。

もしも英国でカップうどんを啜ることなんてありえないと思う人がいるならば、想像力が足りないよ、などと言ってしまうかもしれない。それが当たり前に思えても、そうじゃなくたって世界は成り立つ。要はなんでもありなのだ。そのことを知るためには、一度自らの当たり前が通じない場所に身を置いてみることが必要なのかもしれない。想像力を縛っているものは間違いなく、"当たり前"だから。

いつだったか、頼りない鳥の声が僕に「想像力が足りないよ」と言っていた気がしたことがある。その鳥は何一つ、行く手を阻むものがないイギリスの広い空へとはばたいて、そしてどこか知らない遠くへ飛んでいった。

(高等部2年生 男子)
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