夏休み最後の入道雲

夏休み最後の入道雲

夏休みもいよいよ終わりを迎えようとしていた。この前、久しぶりに家族に会ったのに…。時が流れるのは早いなと実感した夏休みだった。夏休みの思い出を友達とSNSを使って会話する。二日後には会えるはずなのに、なぜ皆わざわざSNSで思い出話をするのだろう。立教に来て一年以上もたっているのにまだ謎は解けない。ソファの上で犬をなでながら兄や母と会話する。私はそんな普通でささいなことが幸せに感じた。会話といっても、くだらない話しかしない。ゲームをクリアしたとか犬の散歩に誰が行くかで揉めたとかその程度。みごと犬の散歩に行けるようになった兄と私はブラブラと散歩を始めた。私と兄が犬の散歩に行くときは、あまり話さない。仲が悪いからという理由ではなく、むしろ安心できる相手だからこそ話さないのかもしれない。夕日を見ながらポトポトと一歩ずつ前に進んでいく。一時間ほど歩いていたのになぜか疲れはあまりなかった。その日は私が新潟から出ていく前日であるのにいつも通りのご飯だった。友達がSNSに高そうな肉の写真をあげていた。友達が高い肉を食べている時に私が切り干し大根を食べていたと思うと笑えてくる。でも不思議と羨ましいという気持ちはなかった。むしろ私に合っている気がして嬉しかった。そんな思いを頭で思い出し、ニヤニヤしながら飛行機に乗っていた。窓から雲を見ると入道雲がみえた。中学生最後の入道雲かと思うと、こころなしか悲しかった。私の夏休みの思い出は皆とは違う。旅行に行ったとかではない。日本にいると当たり前の日常、一日一日が全て思い出になる。立教にいて学べることはたくさんあったけれど、一日一日を大切に思えるようになったことも私の中で大きく変化したことの一つかもしれない。そして長いフライトを終えヒースロー空港についた。これから長い二学期が始まると思うと楽しみと同時に不安がよぎる。けれど一日一日を大切にがんばろうと思えた。

(中学部3年生 女子)