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立教生が綴る英国寮生活

「命の大切さ」


 学校から帰ってきて日本に戻ると、家で待っていたのは段ボールに入った大量のうずらの卵だった。
 聞くと妹がテレビか何かの紹介を見て、今年の自由研究はうずらの卵の観察にしたらしい。そういえば自由研究なんてものもあったなと懐かしく思うと同時に、本当に成功するのだろうかと不安にもなった。

 卵はスーパーで買ってきた市販のうずらの卵を使う。その中にまれに有精卵が混ざっているそうだ。それを、タオルを敷いたダンボールの上にしきつめ、適度な湿度が保てるように水を入れたコップも段ボールの中にいれた。温度は常に30度以上に保つため、段ボールの下に電気カーペットを敷いた。さらに、卵の中でヒナがずっと同じ姿勢にならないように2時間おきに卵を45度ずつかたむけた。

 本当にふかするかもわからない卵の面倒を見ること約2週間。加須港で旅行に行くときも旅行先に持っていった。そして、旅行から帰ってきた日の夜、卵の様子を見にいった妹が、かすかな鳴き声を聞いた。そこからは大騒ぎだった。ビデオの準備をしたり、冷えないようにしたりして見守っていた。しかしまだ時間がかかりそうだった。

 次の日の朝、私より早く起きた妹が、私のベッドのところに何かを持ってきた。それは手の大きさの半分もない小さなヒナだった。
「本当にふかしたんだ。」
となんの世話もしていなかった私が感動するくらいだから、毎日かかさず世話をしていた妹はもっと感動したはずだ。

 それからは買ってあったヒナ用のエサを1日に5、6回にわけてあげ、水を飲ませたりした。鳴き声は日に日に大きくなっていった。とてもかわいかった。しかし、ふかしてから4日目、急にぐったりとしてしまった。鳴き声も小さくなった。その次の日、見てみると足から血が出ていた。急いで獣医に見てもらった。骨折していた。包帯を巻いてもらって薬も飲んで前のように鳴くようになってほっとした。

 翌朝、目が覚めると妹が泣いていた。まさか、と思ったがすぐにそれはない、とかき消した。きっと他のことだよ......。部屋の外で母と妹が何か話していた。気になるけど、聞きたくない。もし聞いてしまったらさっきのまさかが当たってしまうかもしれないから。私はそのまま寝たふりをした。しばらくしてから起きて歯をみがいていると母が来て首を横にふった。すぐになんのことかわかった。まさかが当たってしまった。私はわざと平気な顔をした。本当は泣きたかったがいつも私は素直に泣けない。
 ふかしてから6日。家族は1人もいない知らない場所に生まれ出てきて、小さな体にいろんな傷を負って、とても辛かっただろうなと思った。

 6日間だけなのにこんなに悲しいなら犬や猫みたいに何年も一緒にいたのに突然死んでしまったらきっともっと悲しいだろう。今までただの憧れで犬を飼いたいと言っていたが死んでしまった時のことを考えていなかった。
 人間も一緒だ。どんなに大切な人であっても特別な人であってもいつかは必ず死んでしまう。そのことを考えるととても怖くなる。でもだから一人ひとりとの時間をもっと大切にしようと思う。そんな夏休みだった。

(中学部3年生 女子)

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