立教英国学院

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立教生が綴る英国寮生活

赤いネクタイ


「今日も夕日がキレイだなぁ」
最近そう自分に確かめるようにつぶやいて夕暮れの空をよく眺めるようになった。思い返せばここで過ごした時間は「3年間」というピリオドを打つその日に刻一刻と近づいている。きっと今までと同じ煉瓦造りの建物と生い茂った木々からのぞく空だけれど。

元気な声で何がおかしいのかわからず笑いあっている高校1年生を見ていると、あんな時もあったなぁ、なんてまるで一気に何十歳も歳をとってしまったように思う。あの頃私はこの「立教」の毎日の忙しなくてきちっとしたサイクルに溶け込むのに必死だった。ここでの一人前の証で、力強い赤ネクタイをした人たちがかっこ良くて仕方なかった。家を離れた寂しさをどうにか握りつぶそうとして、日々蘇る母の味を奥にしまって。いつかあのネクタイを自分がするだなんて考えられなかった。空を見上げてキレイだなんて思う余裕はなかったんだろう。

そんな私も、あの時は思いもしなかった「赤ネクタイ」をしてこの文を書いている。何を学んだのだろう。もちろん日々勉強をしてまた日本へと帰る準備をしている。私はここで何を学んだのか。

確か入学したての頃にここでの生活への期待と目標について作文を書き、ちょっと先生に褒められちゃったりなんかして嬉しかった記憶がある。広い視野を持った国際人になりたいとか、大人になった気がしてしまうような覚えたての言葉を少しドキドキして並べたような気がする。思ってもいない事を書いたって訳ではないけれど、あの頃の私はあと1年と半分くらいすれば「自分って、自分にできることって、結局何がしたいんだ?」というどうも先の見えない小道でウロウロすることなんて知らなかったのだ。ここでの毎日の同じ生活に慣れて学年も上がると、自分が何なのかわからなくなった。皆似たような制服をまとい、同じことを繰り返して...。自分を表現したい、だなんて自分の中の葛藤を鎮めるのに手を焼いたりした。窮屈で仕方なく思い、悩んだこともあった。しかし目の前の「絶対にやることリスト」が埋まっていくうちにそんな葛藤の落とし所なんて考えてあげている暇はなくなった。

何ができるか、なんて考えたところでどうしようもないのかも知れない。この世界をまだほんの一部しか見ていなくてまだまだ知らないこと、それこそ果てしなく。そんな考えに行き着くのに手を差し伸べてくれた人たちの顔を思い浮かべると、何か一所懸命、頑張っていれば見てくれている人がいる、ということ。そして物事には「時期」があるということ。良いことも、悪いことも。焦らずに自分と向き合い、磨いていること。何となくわかるようなことだけれど、やはり難しい。
ある先生が「立教は社会の縮図だ。」なんておっしゃっていた。小さな社会かもしれないけどいろいろな人がいて皆良くも悪くも知り合っていて、今多先生の「ここでやっていける人はどこでも通用する。」という言葉は嘘なんかじゃないんだ。

振り返れば思うことはそれこそ山のようだけれど、前を向いて、大きな世界へ飛び出していく準備をしなくちゃ。
ここでの「思い出」を余すことなく過去から拾い上げてこられるように。そしてあと1学期。高校生活がそろそろ幕を閉じようとしている。やっとこの「赤ネクタイ」が馴染んできたのになぁ。

(高等部3年生 女子)
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