開花日未定録

開花日未定録

いつからだろうか。こんなにも時間が過ぎていくのを早く感じ始めたのは。
大きなバスに身を委ね、いつの間にか眠っていた私の視界には目を覚ますと、あの一か月ぶりに見える大きな学校の門が映されていた。またいつもと変わらない景色を横目に、ぼうっとした頭を覚まそうとしていたその瞬間だった。
「お帰りなさい。1年ぶりだね。」
誰かが私に言ったのではない。かといってこの声が聞こえなかったわけでもない。私はこの声を確かに耳ではなく、目で感じたのだ。そう、私たちの進級のこの時期はいつも誰よりも早く祝ってくれる桜の木がそこに立っていた。
「H2-1」と貼られた紙に自分の名前を見つけた。急に迫ってきた高校2年生と言うものを私はすぐに納得することができずにいた。
しかし入学式を終え、見かけた新しいクラスのメンバー、後輩。そして赤いネクタイを身に付けている先輩。彼はキラキラしていてまるで小さなつぼみが一気に花を咲かせ、ひとつの大きな木となっているように私には思えた。
一緒にきれいに咲きたい。まだ小さなつぼみだとしてもいつかは絶対に咲くことができる。高校生活残り2年という短い時間を大切に、日々小さなことにいっぱい力を注ぎ、小さな事でも大きな意味があるものへと変えられるような存在になりたい。そして桜の木の中で大きな実を結ぶことが出来るよう、精一杯多くのことをこなし、高校2年生としての全力を尽くしたいと思った。
そしてまたこのシーズンがやってきたときに、大きな花を咲かせられるよう、あっという間に駆け抜けていってしまう時間を有意義に、今という瞬間、この1年を一生懸命に過ごしていこうと思う。
(高等部2年生 女子)