読書感想文優秀作品:「銀河鉄道の夜」を読んで

読書感想文優秀作品:「銀河鉄道の夜」を読んで
 僕はこの作品を読んで比喩や独創的な表現が多く使われていると思いました。例えば、天の川を「川や乳の流れた跡」等と言ったり、「天の川を本当に川や乳の流れと考えるならば、その一つ一つの小さな星は砂や砂利、細かに浮かんでいる脂油の球にあたる」等のような表現が沢山あったためです。又「小さなピンセットで一枚の紙切れに、まるで粟粒ぐらいの活字を次から次へと拾い集める仕事がある」とありましたが、初め、現実的な理解をしたため全く意味がわかりませんでした。そして何回も何回も読み返しました。そして自分なりに想像すれば良いのだと気付いたのです。
 文を読んで、このストーリーの背景の色のイメージを頭の中で描いたところ、僕は大体「紺色」という印象が強かったです。それは決して表紙が紺色だからということではありません。
時々古い感じの言葉が出て来るのが印象的でした。「きっかり」を「かっきり」と言ったり、「言う」を「云う」と書いてあった部分です。
 ファンタジーのストーリーでは、書く方の表現の自由、そして読む方の感じ方の自由があり,それだからこそ理解が無限に広がり、壮大な感じがするのではないかと思います。
 銀河鉄道での出来事は本当は夢の中での出来事だったのか?という疑問の中に僕もさまよいました。それはジョバンニ(主人公)が目を覚まし、草の中で眠っていたシーン、そしてそこに「涙と胸のほてり」という表現が入っていたからかもしれないです。摩訶不思議な出来事が多く、面白みがある部分は他にもあります。「鶴や雁、白鳥等を押し葉にして食べると、お菓子の様に甘い」という表現や、実際死んだはずの人達が汽車に乗っていたりといった事があります。この死んだはずの人達が汽車に居るという事は、この汽車は「死人」が乗る天国行きの汽車なのだと僕は感じました。けれど、もっと奥が深いのだと思います。
 ジョバンニが胸が冷たくなったのはなぜか?この時大切な友人が危機にあっていると感じたからだと思います。
 赤い帽子をかぶり、両手に赤と青の旗を持って空を見上げて手旗信号をしていた人がいた。青い旗を挙げると鳥の大群が一斉に進み、赤い旗を挙げると鳥は止まり、潰れた様な音がぴしゃあんと鳴る。この事からこの人は、鳥を守る為に信号機の様な役割を果たしているのだと思いました。
 作者は直接的には書いてない事でも、その辺りを読み手に感じてほしいのだと思います。
 ストーリーの中では鳥が沢山出て来ます。作者は鳥が好きなのかなと思いました。神話やファンタジーに度々鳥が登場しますが、鳥の存在が物語をどこか神秘的にする効果があるのではないかと思いました。
(中学部2年 男子)