大家族体験

本校への入学は「新しい学校への入学」と同時に「大家族体験」をも意味します。
起床から就寝まで学期中を通して100名以上の生徒が昼間の授業ばかりではなく毎日の衣食住も共にしています。教員もほぼ1日中生徒とともに学校で過ごしているので、その生活はまさに「大家族」と呼ぶにふさわしいものでしょう。

「本校の基幹をなすのは毎日3度の食事だ。」

毎日を共にする大家族体験

本校の第4代・宇宿昌洋校長が常に口にしていた言葉です。全寮制学校の食事と言うと皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。カフェテリア風のこぎれいな場所で気の合う仲間達と好きなメニューをいつでも食べられる、そんなイメージを抱くかもしれません。ところが本校の食事はそれとは対局にある形態をとっています。

100名以上の生徒がいても食事は「大家族」のように生徒・教員が全員一緒に食堂でとります。小学生から高校生までが混合の座席は2週間に1度のペースで代わりますが、その間も一日ずつ座席が順番にずれていき、毎日少しずつ違った友達と食事ができるようになっています。

食事は生徒会の生徒のお祈りで始まり、最後の生徒が食べ終わるまで歓談しながら全員で待ちます。それぞれの大テーブルではテーブルマスターを中心に左右合わせて16名の生徒がすわります。テーブルマスターの教員は親の代わりですから、全員きちんと揃っているか、食欲のない生徒はいないか、行儀の悪い生徒はいないか等に絶えず気を配っています。
全員が同じ食事をとりますが、メニューは専任の栄養士とシェフが栄養のバランスを考えて決めますので偏ることなく日本食から英国風の食事までバラエティーに富んでいます。野菜を食べられなかった生徒がいつの間にか何も残さずきれいに食べられるようになったということも珍しいことではありません。

「塾に行けなくて大丈夫ですか?」

英国のカントリーサイドで一年のほとんどを過ごす訳ですから、保護者の方々の中にはそんな心配をする方もいらっしゃいます。でも心配はご無用。「大家族」の中には教員も含まれている訳ですから、昼間の授業でわからないところ、自分の学習を進めていて疑問に思ったことがあれば、いつでも教員室に行って質問をすることができます。もちろん高学年は夜の授業もありますので学習時間の合計は日本で塾に通っている生徒と変わらないばかりか、気軽に質問できる教員が家庭教師として常に身近にいること自体が本校の大きなアドバンテージになっています。

本校の寮に「一人部屋」はありません

仲間と共に過ごす寮生活

全生徒が一年の半分以上を親元から離れてすごす本校では、可能な限り保護者の方に安心していただけるようなきめの細かい配慮をしています。本校の寮には一人部屋はありません。高学年でも2名~6名の部屋、中学生の男子用には6名~10名の部屋もあります。

一人っ子の多い現代では同室の友人たちとの係わり合いもまた貴重な家族体験の一部であり、お互いを思いやる気持ちがそこから生まれてきます。

寮は寮監まかせにせず、全教員が交替で宿直にあたります。1日3度の食事をはじめ、夜の自習時間も各クラスには教員が就寝時まで生徒と一緒にいます。

保護者の方々の代わりとまでは申し上げられませんが、少しでもそこに近づけるよう教職員一人一人が「大家族」の親として精一杯の努力と配慮をしています。

永遠の「大家族」

家族ですからお互いに衝突したり意見が食い違うことも時にはあります。でもいつでも一日中一緒にいるわけですから逃げたり妥協したりせずにじっくりと理解し合っていけるところも「家族」のもつ良さのひとつです。
不思議なもので、入学当初どんなに異質に見える生徒も、数ヶ月が経ち数年が経つうちに自分の個性を発揮できる場所をしっかりと見出していき、気がつくと「立教」という大家族の不可欠な一部分になっているのです。

卒業後何よりも大切にしているものは「立教で出会った友達」だと卒業生達は皆口を揃えて言います。学校を卒業してから何年経ってもお互いに連絡を取り合い、時間が合えば集まって昔の話をし、ヨーロッバに旅行や出張で訪れた時には英国の母校に気軽に立ち寄ってくれる—-「大家族体験」は卒業した後も脈々と続いています。