国語科より:高校一年生 現代文、「境目」エッセイ集 (3)

国語科より:高校一年生 現代文、「境目」エッセイ集 (3)

高校一年生の第一学期「現代文」は、川上弘美さんの「境目」という随筆でスタートを切りました。様々な「境目」を例に挙げながら、さりげなく「境目」に対する考察や独自の考えを述べていた筆者。読解後の発展学習として、各自ペンネームを使って「オリジナリティー」を重視した600字程度の「随筆」を書くことにチャレンジしました。学期末に完成した「2018年度 高一エッセー集」の中から、いくつかの作品を10回に分けてご紹介します。

 


「信頼」

                                  〈ペンネーム〉よちこ

 信頼は大切。社会に出たら誰かの信頼なしでは何も出来ない。よくその様な言葉を聞く。私も人からの信頼はとても大切だと思う。社会人になれば、誰かの信頼なしではどんなに簡単な仕事も任せてはくれないだろう。
しかし、心のどこかで人の信頼を得るのは簡単だと思っている。動物に比べれば。私の考えが甘いのかもしれないが、人の信頼なんて自分自身の努力次第でどうにかなると思うが、動物は違う。
例えば、馬。私には桜野という名のパートナーがいる。彼女とは三年前から今まで一緒に様々な競技会に出てきた。お互いの息が合わずうまくいかない時も、一緒に乗り越えてきた。少しずつお互いが分かってきて、私と彼女の間には信頼関係が出来ていた。しかし、そんな何年もかけて作り上げた信頼も、たった一度の間違いで崩れてしまった。私は彼女を、彼女は私を信じることができなくなってしまった。今までなら簡単に越えられた段でさえ、すぐつまずいてしまう。これ程信頼関係の重要さや、信頼を築き上げる難しさを実感した事はない。
相手が人ならば言葉で伝えられる事も動物が相手ではそうもいかない。だから私は今も彼女との信頼関係を一から作り直すため初心に戻ろうとしている。