立教英国学院

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立教生が綴る英国寮生活

UCLワークショップ「英語はツールだ」



 このワークショップの開催を知ったときどうしても参加したい。そう思い、選考の作文で「必ずや立教生として活躍します。」と思いをこめて記した。その強い思いが功を奏したのか選ばれ参加することができた。受験生が、と思う人もたくさんいただろうが、きっと何かがある。何かが変わる。どうしても、と強く思った。自然に出てきた「立教生として」という言葉の重さに負けないように、と気合が入った。
 プログラム開始前日に、参加する日本人全員が集まって立教英国学院で一日を過ごしIce Breakingをした。一概に日本から、と言ってもInternational Schoolや現地校に通っていた子、海外生活経験のある子、日本で過ごしてきた子、その中には県から派遣されてきた子もいて様々だった。初めは長旅で疲れ、緊張していたためもあるが数時間もすればみな打ち解け、それぞれがもつ空気の違いを感じた。知っている空気、知らない空気、身近な空気。どれもみな新鮮に感じた。翌朝まだどこかぎこちない笑顔の集まった集合写真を撮った。
 初日の夜にイギリスで活躍する日本人として理学系、音楽系から6人の日本人の方によるパネルトークが開かれた。話題はなぜ、どのようにして海外で活躍するにいたったかというものが中心だった。印象に残ったのは、海外で活躍するための人一倍の努力はもちろんだが、もうひとつは「外へ。海の向こうへ。まだ知らぬ世界へ。」という6人がかつて抱いたとおっしゃった思いの強さだ。強く思い描くことはいつか現実となるのだ、信じていたいその言葉が身近になった気がした。そして海外で生活していく中ではぐくまれていく祖国愛、より日本人らしい、日本人としての意識と誇り。私はまだ学生としてしか生きたことはないがすごく共感できた。そして何よりも堂々としたあの6人の姿、自分の能力を鼻にかけない低姿勢は私に「本物」として写った。
 翌日は今回のメインイベントであったUCLのホールでのディスカッション。今回のテーマIntercultural Interactionをベースとし日英の交流から派生させた様々なテーマ、国際情勢について話し合いが行われた。私は楽しみで仕方なかった。日頃から外の世界のニュースにアンテナを張るようにしていたことが身を助け各班それぞれに提示されたどのトピックについても考えが湧き出た。そのイベントにはUCL Academyの生徒、イギリス現地校の生徒、UCL大学院に留学している方々、そして私たち日本人生徒、薩摩藩士がUCLに留学して150年を記念し鹿児島県から派遣された職員の方々が参加した。私はImmigrationというトピックを選んだ。昨今不安定なこの社会で誰一人目を背けてはならない問題。しかも特に深刻な問題を抱えるヨーロッパに住んでいる私にとって身近な問題だった。
 私がまずはじめに先学期学校のCritical Thinkingの授業で学んだことをもとにイギリスの移民排除の機運をUKIPについてを切り口に提起すると、インドから両親の代に移住してきた子がこの国への定住の難しさを両親の経験を交えて話し、その議論から話は外国人である留学生がこの国で就学し、就職することの難しさに移り、今まさにその境地に立っている中国とシンガポールからUCLの大学院に来ている留学生が現状を話してくださった。その後、日本で同じような問題があるのかという話になり私が中心となり知る限りの現状を話した。皆それぞれの育った環境、家庭背景、将来の展望などが異なり、意見は予想したよりも多様で活発だった。最終的に私たちの班は英国へ留学、移住をするときに生まれる障害を中心に話をまとめ私たちが考える移民問題のひとつの意見とした。
 その話し合いの最中に気づいたことがあった。この現代社会の多様さ、私たちに課せられている課題の途方もなさについての再認識はもちろんだがもうひとつあった。それは隣に座っていた鹿児島県職員の方が「すごいね。自分が情けない。大学で遊んでいる場合じゃなかった。」独り言にも聞こえる大きさでつぶやいた言葉が教えてくれた。
 あたりを見回してみた。彼が「すごい」と口にしたような議論の中心となったり活発に発言をする日本人の姿は半分いただろうか。会話に参加しうなずくものの声を聞かない日本人の姿もあった。もちろん日本から来た全員とても意欲的に勉強を重ねてきていることは見ればわかったし、英語の能力が足りないような人はいなかった。決め付けるわけではないが迷いなく自分の意見を述べていたのは海外経験のある人が多かったように思う。もちろん私も自分の英語力に一切満足はしていない。だがその場に参加し、考えを持ち、共有したいという思いは英語で発言することに対する羞恥や迷いを打ち消した。これは今までの生活や父の影響が大きい。しかしもっと伝えたいのに、この思いを、ともどかしい思いをたくさんした。そこでの経験の一瞬、一瞬は次から次へと私の課題をあぶりだし、私の「もっと学んでいきたい、学ばねば」という原動力へと変わっていった。
 私は皆の前で、隣の職員の方に私の意見について何かありますか、と聞いてみた。すごく緊張した顔をされたので悪いことをしたかな、なんて思った。でもそんな思いはすぐに打ち消された。グループの誰一人として彼がしゃべる間、会話をさえぎる人はいなかったし、みんなが彼の意見に興味を持ち耳を傾け、理解しようとした。これか。どれほど英語を流暢に話せるかじゃない。何を思い、考え、伝えるかなんだ。
「英語はツールだ。」
頭で理解していたつもりのこの言葉が突然形を持ち、手でしっかりとつかめた気がした。
 自分のやってきたことは間違っていなかった。そう思うことでよりこれからの将来に対して意欲がでた。寮に帰ると明らかにその日の朝とは違う顔をしている仲間をたくさん見た。勉強を積み重ねていく、その日々の努力は大前提だ。だがやはり実践に打ち勝つものはないんだ、身にしみて感じた。そしてその実践の場に身をおくことは容易なことではない。時間も費用も途方にかかる。そこで自分の立場を振り返るとやはり恵まれた環境にいると再確認した。しかも立教英国学院は、日本人の学校が海外にあるという性質上日本人であるという視点を基盤にして海外の空気、教育に触れることができる。それはより祖国の姿を浮かび上がらせるもっとも近い道であることなのだと気がつけた。
 私は今週末に全校生徒の前で行うこのプログラムの報告プレゼンテーションの準備を今している。そこで今回得たもの、そしてわたしたちが恵まれた環境に身をおいていることを再確認したこと、そしてこれを使わない手はないということ。ここでのこの国での経験は私の血肉となりきっと将来を豊かにする。そのことを多くの人にわかってもらえるよういいプレゼンテーションにしたい。
 私を派遣してくれた学校、両親に感謝し今日からまた新たに気を引き締め将来の展望を描きながら日々精進していきたい。

(高等部3年生 女子)
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