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立教生が綴る英国寮生活

絵から感じた初めての気持ち


絵の良さなんてわからなかった。綺麗だとか、細かいとか思っておしまいで、1枚の所要時間30秒いくかいかないか、という位に興味はない。ヨーロッパに住んでいるからそこそこ良い美術館にもたくさん行ったのだが、私の興味が向くことは無かった。

今回もどうせ良さがわからず終わるのだろうなと思っていた私は、しおり片手にある絵を探していた。その絵は担任の森先生が背景を丁寧に教えてくれた巨大な絵。『レディー・ジェイン・グレイの処刑』
見た瞬間に感じたのは、絵から漂う暗さ、悲しさ。全体的に暗いこの絵の中で、ジェイン・グレイは輝いていた。これから処刑されるのに、だ。皮肉な事に、私の目にはとても美しく、輝いている彼女がいた。

次に先生の言葉を思い出しながら鑑賞。王位継承問題に巻き込まれ、「反逆者」となった彼女は人当たりが良く、温和な人間だったらしい。だから後ろの侍女は泣いているのか。だから聖職者も首切り人も彼女に慈しみの目を向けるのか。ならばなぜ、彼女を救ってあげられないのか。彼女はなぜ泣いていないのか。たくさんの失望も疑問も、どこにも行かずに私の心に留まり続けた。失望も疑問も、私の中で希望に変えたくなかった。絵を見て、衝撃を受けるのも、自問自答するのも、「せめて私の内だけでも幸せに」なんて思うことも初めてだった。私はこの絵を見ることができて、絵に興味を持つことができて、本当に嬉しかった。

大げさに言うと、この絵は私の考え方を変えたのだ。しかも正の方向に。きっと森先生が説明しなかったら、私がまじめに話を聞かなかったら、しおりをまじめに読まなかったら、私はこの絵に、この絵に出会えた私に、会うことはなかっただろう。この絵を見ることができた小さな積み重ねに、私に初めての気持ちを教えてくれたこの絵に感謝する。

(高等部1年生 女子)
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