カーテンコール:去年のオープンデイからずっと憧れていた劇企画

カーテンコール:去年のオープンデイからずっと憧れていた劇企画 カーテンコール:去年のオープンデイからずっと憧れていた劇企画 カーテンコール:去年のオープンデイからずっと憧れていた劇企画 カーテンコール:去年のオープンデイからずっと憧れていた劇企画
オープンデイ当日の夜、ホールの中の生徒達の熱狂とは裏腹に、外は雨だった。でも僕にはその雨が僕らを待っていたように思えた。後夜祭からドミトリーまでの帰り道、びしょ濡れになりながら一人そう考えていた。
中学時代を遊びほうけて過ごした僕は、いつの頃からか “青春” という二文字に憧れていた。辞書には「人生における春」というあいまいな表現しか載っておらず、言葉の意味自体にはあまり深い意味は無いだろう。しかし、よく耳にする “青春” という意味を勝手に解釈させてもらうと、『何かに熱中して、楽しい学生生活を送ること。』らしい。そう考えると中学時代を無意味に過ごしてしまったのはとても惜しいことをしたと思う。そう思ってもそればかりはどうしようもない。
ならば今の高校生活はどうだろうか、そう自分に問いかけてみた。自分は今、楽しいか。もう一人の自分がいるならば、迷わずにイエスと答えられると思う。
昨年のオープンデイからずっと劇企画に憧れていた。その企画の人々は観る者を魅了していた。この人たちはみな魔法使いで、何か不思議な魔法を使ったのかとさえ疑ってしまいそうになった。しかし僕は既に別のフリープロジェクトに所属していたため、劇に参加することはできなかった。オープンデイが終わっても企画の人たちは楽しそうで、お互いを役名で呼び合っているのが、見ていてとても羨ましく思えた。
オープンデイが終わり、自分の部活動に勤しんでいた頃、僕のところに劇をやっていた先輩がやって来てこう言った。「これからつくる演劇部に入らないか」と。僕はこのチャンスを逃すまい、逃してなるものかと思い、「はい」と即答した。
部に入り、練習を始めた。運動部とは全く違った。恥を捨てて大声を出したり、女子ばかり周りにいる中で感情を入れてセリフを読み上げたりするのはとても楽しかった。自分とは違う何かに変身するのは小さい頃からの夢だった。
それから毎日、演劇部が学校生活をしてゆく中での一番の楽しみとなった。幸いなことに演劇部には男子が少なかったため、ずっと憧れていたオープンデイの劇企画にも参加できることとなった。僕は素直に嬉しく思った。
練習を重ね、半年。オープンデイがやって来た。これまでに様々な壁に行き当たった。それを乗り越えて舞台に立った。
ラストシーンが終わり、カーテンコールの時間となった。舞台の上でライトを浴びながら思った。自分はちゃんと “青春” していたんだな、と。でもこれで終わり。オープンデイも、企画も、楽しかった時間も。舞台で一人泣く訳にもいかず、無理に笑顔を作って堪えた。
今でもカーテンコールの終わる瞬間を思い出せる。夢から覚めた今、ともに楽しんできた仲間に、お礼を言いたい。
(高等部1年生 男子)