立教英国学院

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立教生が綴る英国寮生活

剣の道と僕の前進





 ここまで運動できない男子も自分くらいなんだろうな。
これが初めて竹刀を持ったときの感想だった。坂本龍馬に憧れて、親を超えるために剣道をはじめた僕は、早くも挫折を味わった。
 
 僕はそもそも外で遊ぶことの少ない子供だったと思う。鬼ごっこをやったときなどは、毎回鬼になっては最後まで誰も捕らえられなかったものだ。そんな自分がスポーツをやろうと考えたことが、大きな前進だったのだ。
 
 初めて持った竹刀は少し重たかった。竹刀をふっていた自分は、工事現場のぎこちないショベルカーのようだったと思う。同じ時期に剣道部で剣道をはじめた仲間と、難しいねと話していた。そんな時、先輩達が試合をしている姿が目に映った。先輩たちの振るう竹刀は固いはずなのに、くねくねと自在に形を変えながら、互いの面に喰らいついていた。そのときの竹刀を、僕は"つまようじ"のようだと思ったことを覚えている。
 
 練習を繰り返して防具をつけるに到ったけれども、それはとても重く感じられ、まともに動けなかった。僕は自分の動けなさに失望した。稽古が終わり、自分の体に鞭打って素振りをしようとしたが、体は応えてくれなかった。
 
 一年が経ち、部内でのトラブルが起きて部活を辞めた。そしてまた一年が経って立教英国学院に編入し、剣道を再びすることとなった。一年の空白は大きく、僕が入部したときに始めた先輩に、あっという間に実力に差をつけられた。ここから僕の剣道は本当の意味で始まったと思う。
 
 剣道の顧問の先生はとても厳しい人で、さらにはたまに来る先生のご友人はもっと厳しく、上達への道のりの長さに諦めかけながら、少しずつだけれども上達していった。
 
 そして今年。イギリスの春にはめずらしく、入学式の日に桜が校内を彩っていた。高校生になり、新しいスタートを切ろうと決心した。僕はこれで剣道をはじめて三年、経験は二年ということになる。稽古にも昨年の倍以上の気合を入れて励んだ。
 
 ここまで来て、僕はやっと一本をとることに成功した。はじめて自分の成長を実感した出来事だと思う。今日の稽古では先生に良くなったと言われた。面の中で涙が出るかと思うくらい、嬉しかった。
 
 一度は自分に失望した剣道。今になって、その剣道で希望を見出している自分がいる。
 
 ゴールは遠いけれど、確実に前へと向かっている気がする。ならば、もっと前へと向かうしかないだろう。桜のスタートはついこの前だったのだから。

(高等部1年生 男子)
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