球技大会:こんなに熱くなったのは久々だった。

球技大会:こんなに熱くなったのは久々だった。
グキッ。僕の肘が悲鳴をあげた。しかしここでピッチを出れば先輩が黙ってはいないだろうと思い最後の力を振り絞り再び
ピッチにたった。
僕は今回の球技大会の種目はバレーボールを選択した、去年はバスケットボールを選択し足を痛めたから今年は安全にスポーツをしたいなと思っていた。だがどうだろう。種目の紙が発表され僕の名前はバレーボールの所ではなくサッカーのところにあったのだ。その時僕は5秒ほど静止していたと思う。サッカーなんて中学のころの昼休みに少しやっていたくらいでほ
とんど初めてだ。サッカーは荒いし何より怪我が多いスポーツだ。僕はこれからの2週間がとても不安になった。
練習が始まり3日がたったころ、今までキーパーをつとめていた人がやりたくないと言ってきた。そしたらもちろん先輩た
ちは怒るしチームの人たちもいやな雰囲気になっていた。もともとベンチ宣言されていた僕はこれはチャンスだと思い自分で自らキーパーを引受けた。これが地獄への第一歩だった。
この日から僕は徹底的にキーパーの方法を教わった。先輩の一人がキーパーを12年やっていたこともあって練習はつらかった。試合前日には体は青アザだらけだった。
試合当日、芝生の上でにぎやかに談笑している相手チームと反対に僕たちのチームはとても静かで緊張していた。
同点は負けと一緒。一時間にもおよぶ最後のミーティングでこの言葉を最後に僕達はピッチに立った。ウォーミングアップで先輩が蹴ったボールが手に当たり、肘に激痛が走った。しかしいままでがんばってきた二週間を思い返し踏ん張った。試合の結果は2対2で同点。
相手チームはさっさと帰る中、僕たちはそれから一時間はピッチで黙り込んでいた。
サッカーはやりたくなかったけれど今ではサッカーでよかったなと思う。こんなに熱くなったのは久々だった。来年もサッカ
ーにしようかな。
(高等部2年生 男子)