中学部アウティング作文:「その発想はなかった。」

中学部アウティング作文:「その発想はなかった。」 中学部アウティング作文:「その発想はなかった。」
 人間、やろうと思えば案外何でもできるのかもしれない。ヒトラーがドイツという国をまとめ上げたように。人類が核兵器を開発したように。でもこんな黒い例ばかりではなく、テレビとかパソコンとかは今や全世界で使われている発明だし、人間は良いことも悪いこともできるのかもしれない。でも、彼らを見た時にこう思った。「その発想はなかったわ。」
 彼ら、STOMPは異色のパーカッションショーである。その理由は、まるで楽器を使わないからである。もっと日常的にあるもの。例えば、バケツやら缶やらを叩いて遊んだ経験がある人もいるだろう。だが、彼らは弾けた。マッチ箱にライター、あげくの果てに買い物カートまで鳴らし始めた。発想が違う。頭の構造が違うのだろうか。この時私は、やってできないことはないと感じた。
 彼らの演奏している姿は、シュールでありながらも、観客に物言わせない迫力と情熱があった。デッキブラシを用いたパフォーマンスの時は、2〜3本くらい折れても平気で続けていた。自分は今、ギターのプライベートレッスンを受けているが、楽器が全体的にかすんで見えてしまった。あれだけのものを楽器で出すのは難しいだろう。
 ショーが終わる頃には劇場は観客も手拍子で参加する形になっていた。おかげで帰るまで手が少しヒリヒリしていた。
 久々に充実した日を過ごしたように思う。イギリスに来たことを誇りに思う私なのだった。
(中学部3年生 男子)