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立教生が綴る英国寮生活

オペラ座の怪人を見て


本番はやはりすごかった。一番最初のオーヴァチュアから鳥肌が止まらなかった。
以前にも、自分はミュージカルが大好きであるという内容の作文を書いたことがある。高校一年の一学期に「ウィキッド」を見た後に書いた作文だ。なかなか興奮したことを今でも覚えている。だが今回のそれは、ウィキッドには申し訳ないが、前回をはるかに上回るものであった。自分がオペラ座の怪人が大好きだということもあるかもしれない。僕はアウティングの前から、この時をずっと楽しみにしていた。劇団四季のオペラ座の怪人CDで鍛えられた、僕の完全脳内和訳能力。そして百円均一ショップで買った、二セット百円の格安持ち運び用オペラグラス。準備は万端だ。

僕がオペラ座の怪人を知って、一番最初にファントムに抱いた印象は「とてつもなく大きな怪物で、人間らしさはどこにもなく、しかも一人の好きな女性を得るためには手段を選ばず、人をも殺してしまえるような異常さも秘めた怪物。」こんなものだった。ところが僕がロンドンで見たファントムには少し違った感情を抱いた。「かわいそう。」という気持ちだった。生まれてから醜い姿で、誰からも相手にされず気持ち悪がられてきた彼の人生。そんな中突如現れた美しいコーラスガール、クリスティーヌ。彼女に歌を教えて主役級の人間にすることが唯一の光だった。そしてあわよくば彼女と恋人関係になれたら、と願っていた彼の前に現れたクリスティーヌの幼なじみ、ラウル。彼はラウルに嫉妬する。何かをしてあげたから見返りがほしい、という感情が少しでも湧くのは仕方のないことだ。本当は自分のほうを向いてほしかった、ただそれだけだったのに。それを急に他人が横取りをして、クリスティーヌも歌がうまくなるだけうまくなって、遠い場所へ行こうとしている。自分の顔が醜いから、みんな自分から離れていく。クリスティーヌも含めて。そんな、どこにぶつけたらいいのかわからない怒りの感情が彼にはあったはずである。ファントムは、僕がいままで抱いてきたイメージの、大きな、誰もが勝つことができない怪物ではなく、実は小さく、弱い心をもった一人の人間だった。

正直、今までの僕の観劇ライフの中においても、今回ほど感動したことはなかった。いつか、家族や友達ともう一度見に行ってこの感動を共有できたらうれしいと思った。

(高等部2年生 男子)
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