立教英国学院

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立教生が綴る英国寮生活

今まで、そしてこれから

 期末試験が終わった日に私の所に一枚の紙切れが届いた。そこには「職員室に来て下さい」と書いてあった。訳も分からず職員室に行くと先生二人とチャプレン、オルガニストの先輩二人が私を待っていた。みんな笑顔で私を迎えてくれた。そして先生に、
「オルガニストに選ばれました」
と言われた。その時の私は、オルガニストに選ばれた喜びよりも、動揺や不安の方が大きかった。「夏休みに練習とかした方が良いですか」
と先輩に聞くと、
「特に何もしなくて良い」
と言われた。そのため夏休みは何もせずに2学期が始まった。

 始業式に自分が弾く曲の紙をもらった。私的には順調に仕事をこなしていた。ある一つを除いて。それはオルガンを弾くことだ。オルガニストにとってオルガンを弾けないのは、かなりの致命傷である。ちなみに私ができていた仕事は毎日聖歌番号を替えること、その学期に弾いた退堂の曲を覚えておくことだ。

 オルガンを弾けない私を当時の高校3年生の先輩が叱ってくれた。
「CDの音楽を流した方がまだ良い」
と言われた時はさすがに涙が出そうになった。しかし私は堪えた。高3なので勉強で時間がない先輩は、私が入ったことによって楽になるはずが、逆に重荷になっていると思うと泣いてはいけない気がした。期末1週間前まで毎日プラクティスに行き、死ぬ気で練習した。他の事に目を向けている余裕など少しもなかった。それでも私は上手くならず叱られていた。ほとんど毎日私を叱ってくれた先輩がたった一度だけ誉めてくれた日がある。その日がどれだけ嬉しかったか、今思い出しても涙が出そうになる。やっと先輩に認めてもらえた気がした。いつも叱ってくれた先輩から誉められるのと、他の先輩が誉めるのとでは全然違った。

 3学期になり高3の先輩は卒業し、高2の先輩と私だけになった。私は上手くなりたくて毎日プラクティスに行っていた。けれども相変わらず下手だった。そのため高3の先輩が抜けた分の穴を埋めるために高2の先輩にどれだけの負担がかかったか、計り知れない。今考えても「ごめんなさい」と申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 学期の終わりになると、また職員室に呼ばれた。理由は勘付いていた。そして私の勘は当たった。私の同学年の子が1人オルガニストに選ばれたという知らせだった。その子はもともとオルガニストをやりたくないと言っていたため、申し訳なさがあった。でもやっぱりありがたいという気持ちもあった。高2の先輩は、私が選ばれた時より友だちが選ばれた時の方が喜んでいた。これを見て自分の未熟さを感じ、いっそう胸にズキンときた。

 そのまま順調に時が過ぎ、高2の先輩も卒業してしまった。今は1人後輩の男の子もいる。まだオルガンに不慣れな姿を見ると、つい昔の自分と重ね合わせてしまう。
 今の私もまだ下手で、後から入った子の方がよっぽど上手く弾けている。今の私を見て、叱ってくれた先輩は幻滅するかもしれない。
「2年経ってまだこの出来?」
と言われる気もする。
「オルガニスト辞めれば?」
といわれるかもしれない。それでも私は先輩に出会えた事、教わった事、叱ってくれた事、全てに感謝している。後輩の事を本気で叱ってくれる先輩を、嫌いと思うことや憎らしいと思うことは一回もできなかった。ひょっとするとまだ未熟な私が後輩を教えるなんて、笑いものになるかもしれない。それでも私はかわいい後輩を育てたい。

 私はオルガニストになってピアノはもちろんのこと、心も成長した気がする。私にとってオルガニストは自分自身を成長させてくれた所である。友だちにも後輩にも、立教生全員に、何か一つ手に入れて、この学校を卒業してほしいと思っている。

(高等部2年生 女子) 
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