冬の読書感想文、銀賞受賞!「どの世代であっても戦争のことを心の片隅に置いておかなければいけない。」

冬の読書感想文、銀賞受賞!「どの世代であっても戦争のことを心の片隅に置いておかなければいけない。」
3月12日に行われた卒業終業礼拝で、冬期休暇中に全校生徒が書いた読書感想文の表彰がありました。その中から金賞、銀賞の作品を3回に分けてご紹介致します。
第3回は銀賞、高等部2年女子生徒の作品です。
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「太陽の子」を読んで
 私の祖父は、戦争中に兵士として戦った人の1人です。祖父は私が3歳の時に既に亡くなっているので私には一緒に過ごした記憶がありません。これらは現在88歳になる祖母から聞いた話です。
 ある時、私はふと思い立って祖母に戦争について尋ねたことがあります。少しの贅沢も許されなかった時代を生きてきた祖母は今でも感謝をする気持ちを忘れず、どんな些細なことにも「ありがとう」と言って手を合わせます。今少し忘れっぽくなり私の顔も認識できるかもわからないという状態の中でも、戦争時代の頃のことは鮮明に記憶しているようです。当時の食べ物、衣服、空襲警報、そして防空壕など、祖母の覚えている限りのことを詳しく教えてくれました。大分前のことになります。この時、戦争中に祖父の足に鉄砲の弾が貫通したという話を聞きました。その話を聞いて、私は初めて戦争の恐ろしさを知りました。
 この『太陽の子』という本は、私の母が子供だったころから家にあった本です。先日この本の表紙を開いた時、1枚の紙が挟まっているのを見つけました。それは私の母が中学生の時に書いたものでした。内容は、『もし、私がたった1つ、あなたに語りかける言葉を持つとするなら、あなたの悩みや苦しみは、あなたの父や母、そして、あなたの「生」につながるたくさんの「死」が、同じように悩み苦しんできたということを忘れないように―。灰谷健次郎』という文章でした。これはこの『太陽の子』のカバーに書いてあった文章です。それが母の手によって清書されていたのです。これを見て、私は複雑な気持ちになりました。どの世代であっても戦争のことを心の片隅に置いておかなければいけない、それほど大切なことなのだと、これを見てまた実感させられました。そして私も母に倣って、新しい紙に母に負けないような字で、同じ文章を清書し同じところに挟みました。これが今の私と母の関係のように、私の子供、孫と受け継いでいき、戦争とはどんなものなのか、この本を通じて知ってもらえたらいいと思います。
 ご存じのとおり、今の世の中では戦争をじかに体験した人が少なくなってきています。朝日小学生新聞に戦争の被災者インタビューが掲載されていました。やはりどれも息を呑み、目をそらしたくなるような内容ばかりでした。戦争の様子や被災者の辛さはこの新聞を読んだ人か、周りに戦争体験者がいて話を聞いた人にしかわからないことではないかと思います。だからこの話をしっかりと心の中に刻み付けると同時に、後の時代で同じことを再び繰り返さないように語り継いでいかなければならないのだということを強く感じました。
(高等部2年 女子生徒)