立教英国学院

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「創立40周年記念感謝礼拝」ご祝辞 在英国日本国大使館 総領事 今村 朗


7月7日(土)創立40周年記念感謝礼拝が行われました。
その中で、在英国日本国大使館 総領事 今村 朗さんから頂いたご祝辞をご紹介致します。

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祝辞
在英国日本国大使館 総領事 今村 朗

本日は立教英国学院の創立40周年、誠におめでとうございます。これまで子供たちの教育に携わってこられた先生方、学校の運営に尽力されてきた関係者の皆様、保護者の皆様、在校生の皆さんに、心よりお祝い申し上げます。
 本日お集まりいただいている卒業生の方々を始めとする皆様方におかれましては、この日を迎えられましたことは誠に感慨深いものがあると思います。40年前の1972年、このロンドン郊外ギルフォードの地において立教英国学院は、最初、小学部19名でスタートしたと聞いております。1972年といいますと日本は高度成長期が未だ続いていた頃であり、日本企業の欧州への進出もまだ始まったばかりの頃でした。この40年間で立教英国学院は現在のような素晴らしい設備を備えた小中高一貫校として大きく発展し、日英のかけはしとなって、各方面で活躍する人材を数多く輩出されてきたことに心からの敬意を表したいと思います。また、昨年の東日本大震災に際しては、イギリスの人とともに様々なチャリティー活動に取り組まれたことは素晴らしいことであったと思います。
 さて、本日は在校生の皆さんに一つお話したいことがあります。それは「チャレンジ精神を忘れるな」ということです。皆さんは京都大学の山中伸弥先生のことを知っていますか?ⅰPS細胞induced pluripotent stem cell(人工多能性幹細胞)とは、どんな細胞にでもなれる能力を持った細胞のことで、万能細胞とも言われます。病気の人にⅰPS細胞から作った健康な細胞を移植することによって、これまで治すことが難しかった病気でも治すことのできる、素晴らしい可能性を秘めた細胞です。山中先生は実験によってⅰPS細胞を作ることに成功したのですが、山中先生が最初の頃に取り組んだ実験は失敗の連続だったと思います。山中先生は若い研究者だった頃、ある遺伝子が肝臓でたくさん働くとコレステロールが下がるのではないか、という仮説を立てて、それを証明するために実験をしました。コレステロールというのは動脈硬化という病気の原因になる物質です。山中先生はマウスでその実験をしたのですが、その遺伝子をたくさん働くようにしたマウスは病気が治るどころか、皆肝臓ガンにかかってお腹がふくれあがってしまったそうです。つまり、その遺伝子は病気を治す遺伝子ではなく、ガンを起こす遺伝子だったのです。実験は失敗してしまいました。しかし、山中先生はここで諦めずに、その遺伝子の働きを更に研究しました。失敗にめげずチャレンジ精神を発揮したのです。するとその遺伝子は、生物がまだ母親のお腹の中でいるときに少しずつ手足や心臓といった様々な細胞に分かれていく、これを分化といいますが、分化のために必ず必要な遺伝子だということが分かったのです。それがきっかけとなって山中先生はどんな細胞にでもなれる能力を持ったⅰPS細胞を作る方法を発見しました。つまり、失敗した実験が成功の元になったのです。
 もう一つ大切だなと思うことは、失敗をバネとして、大きな目標を立てたことです。当時、どんな細胞にでもなれる能力を持つのは母親のお腹の中にいる、それも最初の頃だけで、分化が進むとそのような能力は失われてしまうことが分かっていました。しかし、様々な細胞に分化する能力を持った細胞を使うには母親のお腹の中から将来の赤ちゃんになる細胞を取り出さねばならず、赤ちゃんの生命を絶つことになり、問題がありました。山中先生は、どんな細胞にでもなれる能力を持った細胞を、大人の皮膚のような普通の細胞から作り出せないか、という目標を掲げたのです。なぜなら分化してしまった皮膚のような細胞を、分化する前の細胞に戻す、これを初期化すると言いますが、普通とは逆のプロセスを考えてそれを目標に定めたからです。どうしてそんな大胆な目標を立てることが出来たのでしょう?山中先生は、その頃、自分がやっていたガンを起こす遺伝子の研究は本当に世の中に役立つのだろうかと悩んでいたそうです。そのため鬱病にかかってしまい、朝もなかなか起きることが出来ず、研究をやめてしまう寸前だったそうです。そのようなスランプから抜け出した時、一度はやめてしまおうと思ったのだから、この際、人が思いもつかない目標、先生はビジョンと言っていますが、そのような大きな目標を定めて、それに向かってチャレンジすることにしたということです。
 山中先生によると実験というものは10回やって、やっと1回成功するかしないかだそうです。でも九回失敗しないと、この一回の成功は手に入らない、だから失敗を恐れていては決して成功しない、失敗するのは恥ずかしいことではないんだ、若い人たちは失敗を恐れずチャレンジして欲しい、そして大きな目標、ビジョンを掲げてその実現に向けて頑張って欲しいと言っておられます。
 皆さんは幸い、この立教英国学院という素晴らしい環境の中で、しかもイギリスという日本とは異なる文化に触れ、日本にいるだけでは決して得ることが出来ない貴重な経験をする機会に恵まれています。皆さんがそのような恵まれた環境を生かし、多くのことを学ぶと同時に、失敗を恐れずチャレンジすることの大切さを忘れないで欲しいと思います。それにより立教英国学院からチャレンジ精神に富み、人類が直面する様々な課題に突破口を切り開くようなたくましい人材が輩出することを願ってやみません。
 以上をもちまして、立教英国学院の創立40周年にあたり私よりお祝いの言葉といたします。
 本日はおめでとうございます。
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